PMBOKのリスク対応策の実行とは何か?
リスク対応策の実行の概要
PMBOKで扱われるプロセスの1つであるリスク対応策の実行とは、合意済みリスク対応計画を実行するプロセスです[1]PMBOK第6版、449頁。。
PMBOKに従い、プロジェクトのリスク・マネジメントを進めるのであれば、一般的には以下のプロセスを経ていきます。
これらのプロセスではリスク・マネジメントの計画を練っていますが、リスク対応策の実行では、その計画を実施していきます。
当初の計画を実行し、プロジェクトへの脅威を最小限に抑え、好機を最大限に活かすことが、リスク対応策の実行の目的です[2]PMBOK第6版、449頁。。
今回はこのリスク対応策の実行のプロセスを解説していきます。
リスク対応策の実行のアウトプット
まずはリスク対応策の実行のアウトプットを確認し、このプロセスのゴールを明確にしていきましょう。
リスク対応策の実行のアウトプットは以下の通りです[3]PMBOK第6版、452頁。。
- 変更要求
- プロジェクト文書更新版
- 課題ログ
- 教訓登録簿
- プロジェクト・チーム割当て
- リスク登録簿
- リスク報告書
リスク対応策の実行は、これまで練ってきた計画を実行に移すプロセスであるため、資料や文書が新たに作られるわけではありません。
これまでのプロジェクト文書を変更したり、その変更を実施するための変更要求を出したりします。
リスク対応策の実行のインプット
リスク対応策の実行のインプットは以下の通りです[4]PMBOK第6版、450頁。。
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 教訓登録簿
- リスク登録簿
- リスク報告書
- 組織のプロセス資産
上述の通り、リスク対応策の実行のプロセスは、これまで計画してきたリスクへの対応を実行に移すプロセスです。いざ計画を実行に移すとなったら、これまで作成したあらゆる資料・文書を参照し、プロセスを進めていきます。
上記のリストには「プロジェクトマネジメント計画書」と一言でまとめていますが、リスク・マネジメント計画書をはじめとするプロジェクトマネジメント計画書の構成要素すべてがインプットになるというイメージで大過ないでしょう。
これはプロジェクト文書でも同様で、教訓登録簿やリスク登録簿、リスク報告書を中心に確認していきますが、必要とあればこれまで作成してきたあらゆる文書を再度読み返し、リスク対応策の実行を進めていきます。
リスク対応策の実行では、組織のプロセス資産として教訓リポジトリなどが利用されます。
リスク対応策の実行のツールと技法
リスク対応策の実行のツールと技法には、以下のようなものが挙げられます[5]PMBOK第6版、451頁。。
- 専門家の判断
- 人間関係とチームに関するスキル
- プロジェクトマネジメント情報システム(PMIS)
専門家の判断を仰ぐ際は、リスク対応策の検証や修正、効果的な実施方法を知る人物を専門家として招きます。
人間関係とチームに関するスキルとしては、リスク対応策の実施の時に、周囲の協力を得られるような影響力が挙げられます。
プロジェクトマネジメント情報システムとは、backlogやtrelloなどのWebサービスをイメージするとよいでしょう。一昔前まではMicrosoft社のExcelなどでスケジュールやタスクを管理していましたが、近年ではよりインタラクティブにコミュニケーションがとれるツールが増えてきました。
このようなツールを使ってリスク対応策を実施していきます。