費用便益分析とは何か?

費用便益分析とは

費用便益分析(Cost Benefit Analysis)とは、プロジェクトの評価手法として活用され、プロジェクトがどれだけの収益を上げるものなのか判断するため分析方法です。
プロジェクトに対する総便益の比率を指標とします。
欧米などの先進国で利用されていた手法ですが、経済効率性の評価で注目されるようになり、日本国内でも活用されるようになってきました。しかし、費用や便益に何を含めるのか、費用便益分析のガイドラインの策定が、詳しく定められていないなどの課題点もあります。

プロジェクトで費用便益分析が使われる場面

プロジェクトの中で費用便益分析が使われる場面はさまざまです。
ここではいくつかの例を紹介していきます。

プロジェクトの監視

プロジェクトに思わぬトラブルがあった際、その対処法を講じる際に、「どのくらいの費用が必要なのか」「どのような効果(便益)を得られるのか」は不可欠の判断基準になります。
このように、プロジェクトの監視をしていく中で、随時費用便益分析を行いながら、対処方法を講じていく必要があります。

品質マネジメント

品質マネジメントの中では、品質コストを考慮しながら、要求されているプロダクトの品質を達成するために、さまざまな判断をしていきます。
この中でも、かかる費用と得られる便益を比較しながら、意思決定を行う必要があります。
予防や検査に対してお金をかけたほうが良いのか、それとも不具合が発生した時の損失額を甘んじて受け入れたほうがよいのか、これらの費用・便益を天秤にかけて判断を行います。

リスクの評価

リスク・マネジメントの中では、リスクの評価を行います。
これも品質マネジメントと同様に、かかる費用と得られる便益を比較していきます。
リスクの評価の中の便益とは、「どのようなリスクを取り除けるのか(あるいは軽減できるか)」を意味しており、多くの場合、必要とする費用と発生する損失額の期待値が比較されます。

費用便益分析の必要性

費用便益分析が、日本でも利用されるようになったのは何故なのでしょうか?
ここでは、費用便益分析の必要性についてご紹介します。

客観的にプロジェクトの収益化を判断できる

ビジネスを継続させていくためには、利益を追求しなければいけません。費用と便益を比較して利益が出せるかどうかを分析する費用便益分析を利用すれば、そのプロジェクトを実施すべきなのかを経済的観点から的確に判断することができます。
事業を成功させるためには収益化を考えることが大切ですが、その際に費用便益分析が役立ちます。

複数のプロジェクトを比較できる

複数のプロジェクトから1つのプロジェクトを選ぶ場合、費用便益分析を適用すれば、それぞれのプロジェクトの収益を比較することができます。
各プロジェクトの投資額や産出できる価値を経済的評価していくため、どのプロジェクトを優先すべきかが明確になります。

関係者に説明がしやすい

プロジェクトを実施する価値があるかどうかを確かめる手法が、費用便益分析です。
総便益を総費用で割って、その値が1を超えれば、そのプロジェクトを実施する価値があると判断されます。
そのため、相対的重要性を説明しやすいです。決裁をもらう場合などのプレゼンテーションなどで、費用便益分析が使われる機会が増えています。

費用便益分析の具体例

費用便益分析には、内部収益率法、費用便益比率法、純現在価値法があります。
ここからは費用便益分析の具体的な例を見ていきましょう。

内部収益率

内部収益率(Internal Rate of Return)とは、投資によって得られると見込まれている利回りと本来の利回りを比較して、その大小で判断する手法のことです。本来の利回りの方が高い場合は、投資した方が良いと判断されます。しかし、想定外の損失などのリスクを加味して、10%台であれば事業性があると判断する企業も多いです。
内部収益率を採用する場合は、均衡点が多数存在する場合、想定利回りの判断が難しいというデメリットがあります。

費用便益比率

費用便益比率(Cost Benefit Ratio)とは、現在価値化した費用便益の比率が1以上であることを基準とする分析方法です。しかし、実際のプロジェクトではリスクを加味して、1.2もしくは1.5などの数値が基準として定められることが多いです。
費用便益比率を採用する場合は、規模の異なるプロジェクトの比較は簡単に行えますが、実際に発生する便益の大きさが分かりにくくなるので注意しなければいけません。

正味現在価値

正味現在価値(Net Present Value)は、プロジェクトの価値(純現在価値)が投資額を上回るかどうか確認するために利用されます。
将来価値から現在価値を計算して、その現在価値から投資額を差し引いて計算されます。プラスになれば、そのプロジェクトは実施する価値があるということになります。内部収益率を採用すると、大規模のプロジェクトが有利になりがちなので注意しなければいけません。