プロジェクト・マネジャーが持つべき影響力とは何か?

2021年1月20日

プロジェクト・マネジャーに必要な影響力

プロジェクトには様々な参加者やステークホルダーがいるため、プロジェクト・マネジャーは彼らの協力を上手く取り付け、プロジェクトを円滑に進めていかなければなりません。
このプロジェクト・マネジャーが他の誰かに行動を起こす理由を与えることをPMBOKでは「影響力」と呼んでいます[1]PMBOK第6版、341頁。
今回はPMBOKで紹介されているプロジェクト・マネジャーの影響力について解説していきます。

影響力に関する重要なスキル

PMBOKでは影響力に関する重要なスキルとして、以下のものを挙げています[2]PMBOK第6版、350頁。

  • 説得力
  • 要点や状況を明確に示すスキル
  • 積極的かつ効果的に話を聞く高度なスキル
  • 状況に応じたさまざまな観点の認識と考慮
  • 課題に対処し、お互いの信頼を維持しながら合意に達するための、関連情報の収集

上記のリストの中で、冒頭の「説得力」というのは大きなテーマで内容がつかみにくいものですが、以降のスキルを身に付けると説得力も上がっていくでしょう。
「要点や状況を明確に示すスキル」というのは、現在の課題を整理し、簡潔に説明するスキルです。時には情報を図式化することによって、プロジェクトの参加者に要点や状況を明確に示すことができるでしょう。
「積極的かつ効果的に話を聞く高度なスキル」というのは、積極的傾聴と呼ばれるもので、自分の意見だけを主張するのではなく、周囲の意見を引き出すスキルのことです。この傾聴のスキルはサーバント・リーダーシップにも必要であると言われており、プロジェクト・マネジメントだけでなく、マネジャーとして必要なスキルであると言えます。
「状況に応じたさまざまな観点の認識と考慮」とは、多面的にものを捉えるということでしょう。プロジェクトでは進捗によって優先させるものが異なっていくことがあります。例えばプロジェクトの初期段階では周囲の合意を取り付けることが目下の課題であったものが、プロジェクトの後半ではスケジュールの厳守が最優先事項になることもあります。そのため、プロジェクト・マネジャーは1つの観点に固執せず、さまざまな観点でプロジェクトを把握し、考える必要があります。
「課題に対処し、お互いの信頼を維持しながら合意に達するための、関連情報の収集」とは、周囲と協調しながら課題を解決していくスキルです。ソフトウェア開発のリーダー論の名著である『スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学』では、リーダーの基本姿勢はメンバー全員が問題を解き、決定をくだし、それらの決定を実施に移すことができるような環境を作り出すことだとしています[3]G.M.ワインバーグ (著)、木村 泉 (訳)『スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学』共立出版、1991年、202頁。
同様に、プロジェクト・マネジャーもプロジェクトの課題を捉え、その課題に対処できるような環境を整えてプロジェクト・メンバーの協力を仰ぎ、実施していくスキルが不可欠であると言えましょう。

1PMBOK第6版、341頁。
2PMBOK第6版、350頁。
3G.M.ワインバーグ (著)、木村 泉 (訳)『スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学』共立出版、1991年、202頁。