見積り方法にはどのような種類があるのか?見積り方法のまとめ ~類推見積り、パラメトリック見積り、三点見積り、ボトムアップ見積り~
今回はプロジェクトで使われる見積り法をまとめました。
類推見積り
類推見積りとは、過去のデータを参考に見積りを行うことです。
参考にする主なデータは以下の通りです。
- 所要期間
- 予算
- 規模
- 重量
- 複雑さ
この類推見積りは、意識しなくとも日常的に実施していることが多く「あの時にこのくらいの時間(費用)がかかったから、今回もこのくらい必要だろう」というような過去の経験に基づく見積り法です。
類推見積りは見積りにかかる時間が少なくて済むことがポイントです。
しかし、類推見積りは小規模なプロジェクトではそれなりの精確さで見積られるものの、規模の大きなプロジェクトでの精度は低くなります。
小規模で、何度も類似した経験をしてきたプロジェクトで類推見積りは真価を発揮します。
類推見積りについては、下記の記事もご参照ください。
パラメトリック見積り(係数見積り)
パラメトリック見積りとは、係数見積りとも呼ばれ、過去のデータを基にしてパラメーター(変数)を設け、プロジェクトやアクティビティのコストや所要期間を見積る技法のことです。
例えば、折り鶴を100羽作成する時間を見積る場合を考えてみましょう。
過去に10羽を60分で作成したという実績があった場合、1羽につき必要とする時間は6分であると考えられます。
そうなると折り鶴にかかる時間は以下のような計算式で推計されます。
- 折り鶴の所要時間 = 6分 × 折り鶴の羽数
この計算式にあてはめると、折り紙を100羽折るためには600分、つまり10時間かかる計算となります。
このように、過去のデータを使って式を組み立て、所要期間やコストを見積るのがパラメトリック見積りです。
過去に対応したことがないプロジェクトでも、過去のデータから見積りができることがパラメトリック見積りの特長です。
パラメトリック見積りについては、下記の記事もご参照ください。
三点見積り
三点見積りとは、プロジェクトの作業時間や、その作業の金額を楽観値、最可能値、悲観値の三点から見積る手法のことです。
三点見積りでは、以下の計算式で見積りを行います。
- (悲観値+4×最可能値+楽観値)÷6
例えば、とある作業の工数をチーム内で話し合っているとします。
メンバーの大多数は「10日で終わる」と考えていますが、その作業を不安視している人は「20日はかかる」と見積り、楽観的に考えている人は「6日で終わる」と見積ったとします。
この場合、三点見積りでは以下のように作業工数を見積ります。
- (20日+4×10日+6日)÷6 = 11日
このように、三点見積りでは様々な意見を組み合わせて、より妥当性の高い見積りを出すことができます。
三点見積りについては、下記の記事もご参照ください。
ボトムアップ見積り
ボトムアップ見積りは、システム開発プロジェクトに関する見積り方法の1つです。
ボトムアップ見積りでは、ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー(WBS)をもとに見積りを行うのが一般的です。
WBSに含まれている各アクティビティの工数を見積り、それを合算して全体の見積りを作成するため、納得性の高い見積りができます。
しかし、すべてのアクティビティに対して細かく見積りを行うので、時間がかかるというデメリットもあります。
ボトムアップ見積りについては、下記の記事もご参照ください。
プットナムモデル
プットナムモデルとは、ソフトウェア開発のコンサルティング会社を経営していたプットナム(Lawrence H. Putnam)によって提案されたシステム開発の見積り方法の1つです。
プットナムモデルはシステム規模によって工数が異なることを考慮した手法であり、大規模~超大規模のシステム開発に向けた見積りモデルとされています。
ストーリーポイント
ストーリーポイントとは、ユーザーストーリーを実装するのに必要なコストを見積るための単位です。
ユーザーストーリーとは、システムがユーザーに対して提供する価値を自然言語で書いたものです。アジャイル開発において要件定義の代わりに用いられます。
「<who>として、<what>を達成したい。それは<why>だからだ。」といったテンプレートで表されます。
モンテカルロ法
モンテカルロ法とは、モンテカルロ・シミュレーションとも呼ばれ、シミュレーションや数値計算にて乱数を用いて施行を繰り返すことによって近似値を求める手法です。