パフォーマンス・レビューとは何か?プロジェクトマネジメントで使われる評価手法
パフォーマンス・レビューとは
パフォーマンス・レビュー(Performance Review)とは、プロジェクトマネジメント計画書などの中であらかじめ定めていたベースラインに対して、作業中のプロジェクトの実際のパフォーマンスを測定し、比較し、分析することです[1]PMBOK第6版、724頁。。
例えばスケジュールに遅れがでていないか、計画と実績を比較し、今後の対策を考えていきます。
このパフォーマンス・レビューは上述のようなプロジェクトマネジメントだけでなく、従業員の業務評価にも用いられます。業務評価で用いる場合、一般的に、パフォーマンス・レビューは下記のような流れで行われます。
- 従業員の自己申告
- 管理職のレビュー
- ミーティングの実施
- 管理職による人事考課と査定
- 管理職との人事考課レビュー
管理職は、各従業員の申告内容を確認していき、それに対して評価していかなければいけません。また、従業員が評価に納得しなかった場合は、納得ができるようになるまで対話をしていきます。
従来の1対1の評価方法だけではなく、近頃は、多面的評価を導入する企業が増えています。例えば、仕事上の関わりを持つ先輩や同僚、部下などが従業員を評価する「360度評価」を導入することで、精度の高い評価が行えます。
このように、パフォーマンス・レビューは様々な用途で使用することができますが、ここからはプロジェクトマネジメントでの利用を想定して解説を進めていきます。
パフォーマンス・レビューの方法
ここからはパフォーマンス・レビューの方法をご紹介します。
ベースラインを作成する
パフォーマンス・レビューは基準となるベースラインを作成することから始まります。
最もイメージしやすいのがスケジュールではないでしょうか。
例えば「ユーザーインターフェースの作成」というアクティビティが7月31日に完了するというスケジュールを立てていた場合、そのアクティビティが完了した時点でもともとの計画と実際の状況を比較していきます。
同様に品質マネジメントや資源マネジメント、調達マネジメントでもベースラインを定め、プロジェクトの進展とともに実際のパフォーマンスと比較していきながら、パフォーマンス・レビューを進めていきます。
定期的にレビューを行う
パフォーマンス・レビューは、プロジェクト中に1~2度、義務的に行うだけでは効果を発揮しません。
例えば、マイルストーンに設定したタスクやアクティビティが完了した時点でパフォーマンス・レビューを行うなど、定期的に実施することで、プロジェクトの軌道修正をしていくことができます。
マイルストーンについては、下記の記事もご参照ください。
比較・分析した結果をもとに次のアクションを考える
パフォーマンス・レビューを行ったら、その結果を受けて次なるアクションを考えていきます。
スケジュールの進捗が思わしくない場合は、スケジュールの短縮方法を講じたり、調達がうまくいっていなければ、新たな調達先を考えていったりします。
場合によってはベースラインを変更することも検討されますが、ベースラインはプロジェクトマネジメント計画の根幹であるため、変更には細心の注意が払われます。
ベースラインを変更する場合はコンフィギュレーション・マネジメント計画書に基づき、統合変更管理を行います。
パフォーマンス・レビューのメリット
プロジェクトマネジメントにパフォーマンス・レビューを導入すると、どのような効果が得られるのでしょうか?
ここでは、パフォーマンス・レビューを導入するメリットをご紹介します。
軌道修正ができる
パフォーマンス・レビューの分析結果をプロジェクト・チームの会議で報告することで、プロジェクトの目標達成に向けた取り組みについて話し合うことができます。
もし実績が思わしいものでなくとも、過去のミスの責任を押し付け合うのではなく、次に向けた改善をプロジェクト・チームで考えていくことで、プロジェクトの軌道修正をすることができます。
プロジェクト・メンバーの功績を称えられる
チーム・ビルディングの手法として、メンバーの表彰が挙げられます。上述の通り、パフォーマンス・レビューは業務評価にも使われるため、表彰の1つの尺度として、パフォーマンス・レビューを用いることもできます。
パフォーマンス・レビューによって実際のパフォーマンスを適切に評価することで、日頃のプロジェクト・メンバーの努力と功績を称えることができ、メンバーのプロジェクトに対するモチベーションを高めることができます。
プロジェクト・メンバーのモチベーションが高まれば、ますますパフォーマンスが向上することが期待できます。
プロジェクト・チームの連携を強化できる
「プロジェクト・メンバーの功績を称えられる」の内容に似ていますが、パフォーマンス・レビューを行うことでプロジェクト・チームの連携を強化することができます。
定期的にパフォーマンス・レビューを行うことで、コミュニケーションが活性化します。日頃からコミュニケーションを図ることで、プロジェクト・メンバーも悩みが出た際に他のメンバーに相談しやすくなるでしょう。その結果、プロジェクトの問題がプロジェクト・チームで共有され、アドバイスしやすい環境が得られます。
また、パフォーマンス・レビューによって目標達成に向けた意識を共有でき、プロジェクト・チームの結束を促す作用もあります。
注
↑1 | PMBOK第6版、724頁。 |
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