プロジェクトマネジメント計画書のベースラインとは何か?
ベースラインとは
ベースラインとはプロジェクトマネジメント計画書の構成要素の1つであり、監視・管理される作業成果物の実績値と比較するための基準のことを指します。
PMBOKによる定義
PMBOKではベースラインを「作業プロダクトの承認済み版」と定義し、「正式な変更管理手続きを踏んでのみ変更可能であり、実績値との比較基準として使用される」としています[1]PMBOK第6版、733頁。。
作業プロダクトとは作業成果物と言い換えることもできます。当該プロジェクトでの最終的な成果物だけでなく、各プロセス・アクティビティでの成果物をイメージすれば大過ないでしょう。
ISO21500による定義
ISO21500ではベースラインを「監視され、管理されるプロジェクト・パフォーマンスと照らして比較するための参照基準」と定義しています[2] 榎本徹『ISO21500から読み解く プロジェクトマネジメント』オーム社、2018年、35頁。 。
プロジェクト・パフォーマンスはプロジェクトの実績値・進捗などに置き換えて考えてもよいでしょう。
ベースラインの内容
上述の通り、ベースラインとはプロジェクトの基準を指します。
ベースラインには以下3つの内容を盛り込みます[3]PMBOK第6版、87頁。。
- スコープ・ベースライン
- スケジュール・ベースライン
- コスト・ベースライン
プロジェクトマネジャーをはじめとするプロジェクトチームやステークホルダーは、これらの基準と実績値を照らし合わせながら、プロジェクトが問題なく進んでいるのかを確認していきます。
以下、簡単にスコープ・ベースライン、スケジュール・ベースライン、コスト・ベースラインの説明をしていきます。
スコープ・ベースライン
スコープ・ベースラインとは、作業範囲を確認するために用いられる承認されたプロジェクト・スコープ記述書やワーク・ブレークダウン・ストラクチャー(WBS)、WBS辞書を指します。
スケジュール・ベースライン
スケジュール・ベースラインは実際の進行状況との比較に用いられる基準となるスケジュールのことです。
コスト・ベースライン
コスト・ベースラインは時間軸ベースで実際の結果と比較される、承認されたプロジェクト予算のことを指します。
ベースラインを変更するタイミング
PMBOKの定義にあるように、ベースラインは適宜変更していくようなものではなく、必要に迫られた時のみ変更します。
例えば「予算額が倍になった」「要求されていた成果物が不要になった」「プロジェクトのための時間が1カ月追加された」など、プロジェクトが根底から変わるような事態が発生した際に、ベースラインを変更します。
ベースラインを変更することを、「ベースラインの再設定」とも言います。
ベースラインを変更する手続き
ベースラインが簡単に変更できてしまうと、プロジェクトの基準がぶれてしまい、プロジェクトの失敗へとつながってしまいます。
そのため、PMBOKが説明するように、ベースラインは正式な手続きをもってようやく変更されます。
ベースラインを変更する場合はコンフィギュレーション・マネジメント計画書に基づき、統合変更管理を行います。