【PMBOK第8版】資源管理の成果はどう測る?ダウンタイムとリワークから見抜くプロジェクトの危険信号

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SSAITS代表・山脇弘成

山脇 弘成(SSAITS(サイツ)代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー。
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

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資源管理が「成功した」と言える基準とは

必要なメンバーをアサインし、機材やテスト環境を揃えれば、資源管理は終わりでしょうか。
PMBOK第8版では、資源パフォーマンス領域の活動は「単に作業を実行した(人やモノを集めた)」だけでは成功とは見なされません。それが特定の価値ある成果に貢献して初めて成功したと評価されます。

今回は、PMBOKが提示する「結果のチェック」のための7つの基準を整理しつつ、私たちが実務で特に気をつけるべき「ダウンタイム」と「リワーク」という2つの落とし穴について解説します[1]Project Management Institute『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK®ガイド)第8版』日本語版、第2部 … Continue reading。

PMBOKが定義する7つの「成果のチェック」

PMBOK第8版では、資源管理がうまく機能しているかを確認するため、以下の7つの「目標成果」と「チェック方法」を提示しています。

期待される目標成果達成を確認するためのチェック方法
① 共有オーナーシップがある。メンバー全員がビジョンを知り、成果物に責任を持っている。
② ハイパフォーマンスなチームが整っている。互いに信頼し合い、変化に適応し、回復力を発揮している。PMは適切に権限を与え、成果を成功裏に提供している。
③ 資源の有効活用が図られている。実際の使用量と計画された使用量の対比が効果的に管理されている。
④ 許容可能なダウンタイムの割合がある。総ダウンタイムと計画された総資源時間との比率が、許容レベルにある。
⑤ チームは生産的である。作業時間に対する成果やコストが許容レベルにあり、KPIが定期的にレビューされている。
⑥ 物理的・バーチャル資源の効率的マネジメント。使われた資材、廃棄されたスクラップ、手直しの量が効率性を示している。
⑦ 資源調達マネジメントが実行されている。調達、注文、製造、配送のプロセス全体がうまくマネジメントされている。

人、モノ、調達の3軸で評価する

これら7つのチェック項目は、大きく3つの軸に分類して実務に当てはめることができます。

  • 人に関する成果(①・②・⑤): メンバーが言われたことをやるだけでなく、ビジョンを理解して自発的に動く「当事者意識」を持っているか。心理的安全性が高く、KPI等で生産性が客観的に追跡されているか。
  • モノに関する成果(③・④・⑥): 設備やライセンスが計画通りに使われているか。無駄な放置時間や不良資材、手直し(リワーク)による無駄遣いが発生していないか。
  • 調達に関する成果(⑦): 外部サプライヤーからの注文〜配送までのパイプラインが統合され、現場にタイムリーに供給されているか。

さて、これらの指標の中で、現場のプロジェクトマネージャーとして見落としてはならない2つの極めて重要な視点があります。

意外な盲点①:システムの「ダウンタイム」を見落とさない

意外な盲点①:システムの「ダウンタイム」を見落とさない

成果の④に「ダウンタイムの割合」という項目があります。ダウンタイムとは、システムや機材が停止・休止している時間のことです。

資源を獲得する際、私たちは「価格」や「最新のスペック」ばかりに目が行きがちですが、実はこの「必要な時にシステムが休止・メンテナンスに入っていないか」という視点は、プロジェクト全体のパフォーマンスに直結します。
どれほど安くて高機能なテスト環境(バーチャル資源)を契約しても、頻繁にダウンしてアクセスできなければ、その間チーム全員の作業がストップしてしまいます。

「資源の獲得」プロセスにおける多基準意思決定(複数の指標で調達先を選ぶこと)の際、コストや機能だけでなく、「稼働率」や「信頼性」といったダウンタイムに関わる要素もしっかりと評価基準に組み込んでおくことが不可欠です。

意外な盲点②:「リワーク(手直し)」の真の原因は上流にある

意外な盲点②:「リワーク(手直し)」の真の原因は上流にある

もう一つ、成果の⑥に登場する「手直し(リワーク)の量」も、プロジェクトの危険信号を察知するための重要なセンサーです。

せっかく優秀なプログラマーやデザイナーの時間を確保していても、手直しや修正が何度も重なれば、想定以上の作業時間(資源)が消費されます。最悪の場合、そのメンバーが参加する予定だった他のプロジェクトにまで遅延の連鎖を引き起こします。

ここで注意すべきなのは、リワークの多さは「現場のチームメンバーのスキル不足」や「チーム・マネジメントの失敗」が原因ではないことが多いという事実です。

「仕様が曖昧なまま開発をスタートさせた」「顧客との要件定義の合意が不十分だった」といったように、さらに上流工程の設計やプロジェクトマネジメントそのものに根本的な問題があるケースがほとんどです。
もしリワークの増加によって資源管理が崩壊(炎上)しそうになったときは、現場のメンバーを責めたりお尻を叩いたりするのではなく、「そもそも上流の設計や要件定義に不備がないか?」と勇気を持って立ち止まり、元栓を確認することが大切です。

チームの当事者意識から、システムの稼働率、そして手直しの回数まで。
これら7つのチェック項目を「プロジェクトの健康診断書」として活用し、表面的な進捗だけでなく、人やモノが本当に価値を生み出しているかを定期的に見極めていきましょう。

注

注
↑1 Project Management Institute『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK®ガイド)第8版』日本語版、第2部 2.6.5「結果のチェック」(91〜92ページ)および 表2-10より要約・引用
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