チーム運営を円滑にする手法・フレームワークまとめ
チームで仕事をする上で、メンバー同士が協力し合い、それぞれの能力を最大限に発揮できる環境を作ることは、非常に重要です。
しかし、チーム運営は決して簡単なことではありません。
- コミュニケーション不足
- 目標の不一致
- モチベーションの低下
- 責任の所在があいまい
- 能力を発揮できない
など、様々な問題が発生する可能性があります。
そこで今回は、チーム運営を円滑にするための様々な手法やフレームワークを紹介します。
目標管理
チームで共通の目標を持ち、その目標に向かって協力していくことは、チームワークを高める上で非常に重要です。
目標管理には、SMART、OKR、MBOなど、様々なフレームワークがあります。
これらのフレームワークを適切に活用することで、チームの目標を明確化し、メンバー全員が共通認識を持つことができます。
SMART
SMARTとはSpecific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(適切さ)、Time-limited(時間制限)の5つの英語の頭文字をとったものです。
これら5つの要素がそろっていれば、スマート(SMART)な、優れた目標を作ることができるというアイデアです。
SMARTについては、下記の記事をご参照ください。
OKR
OKR(Objectives and Key Results)とは、組織にて設定する目標と、目標に対して成果を結びつけることで方向性を明確にする目標管理の手法です。「目標」を意味する「Objectives」と「主要な結果」を意味する「Key Results」を組み合わせた言葉として「OKR」と呼ばれています。
OKRについては下記の記事もご参照ください。
目標管理制度(MBO)
目標管理制度(MBO)とは個人ごとに目標を設定し、それに対する達成度合いで評価を決める組織マネジメント手法です。このMBOのアイデアは1950年代にアメリカの著名な経営学者ドラッカーによって提唱されました。
MBOではスタッフ自身に目標を設定させ、自発的な行動を促していきます。その結果、モチベーションを高める効果もあるといわれています。
MBOについては、下記の記事もご参照ください。

役割分担
チーム内での役割分担を明確にすることは、責任の所在を明確にし、チームワークを高める上で重要です。
役割分担には、RASICやRACIチャートなどのフレームワークがあります。
RASIC
RASICは、プロジェクトにおける個人の責任範囲を明確にするためのフレームワークです。実行責任、説明責任、支援、相談先、報告先の5つの役割を定義することで、誰が何をするべきかを明確にします。
RASICについては、下記の記事もご参照ください。

RACIチャート
RACIチャートとは、プロジェクトのチームメンバーの役割と責任を明らかにするために使用される手法です。
“RACI”は“Responsible(実行責任)”、“Accountable(説明責任)”、“Consult(相談対応)”、“Inform(情報提供)”の頭文字を並べたものであり、作業や成果物に対しての役割を意味しています。
RACIチャートについては、下記の記事もご参照ください。
コミュニケーション
チーム内コミュニケーションを活性化することは、相互理解を深め、信頼関係を構築する上で重要です。
コミュニケーションには、ジョハリの窓、互恵の輪などのフレームワークがあります。
コミュニケーション・モデルの3つの基本モデル
コミュニケーション・モデルとはコミュニケーションの仕組みを理解するのに役立つプロセスの体系的な表現です。
コミュニケーション・モデルには以下のような一般的な3つのモデルがあります。
- 線形モデル
- インタラクティブモデル
- トランザクションモデル
ジョハリの窓
ジョハリの窓は1955年にアメリカの心理学者ジョセフ・ルフトとハリー・インガムによって発表された「対人関係における気づきのグラフモデル」です。
人には「公開されている自己」(open self) と「隠されている自己」(hidden self) があると共に、「自分は知らないが他人は知っている自己」(blind self) や「誰にも知られていない自己」(unknown self) があるという考えに立っています。
ジョハリの窓については、下記の記事をご参照ください。
互恵の輪
互恵の輪は、メンバー間の相互扶助を促進するためのフレームワークです。
参加者それぞれが「お願いごと」を出し合い、他のメンバーが協力して叶えることで、チームワークを高めることができます。
互恵の輪については、下記の記事をご参照ください。
ムードトラッカー

ムードトラッカーはメンタルヘルスを改善するためのポジティブ心理学の手法で、通常は設定された時間間隔で気分を記録し、気分の変化のパターンを特定するのに役立ちます。気分を記録することで、うつ病などの精神的な病の原因究明に役立てられます。
ムードトラッカーについては、下記の記事もご参照ください。
感情的知性(EI)
感情的知性(Emotional intelligence)とは、感情を認識、制御、評価する能力を指します。”Emotional intelligence”を略して”EI”と呼ばれることもあります。
様々な場面で用いられる感情的知性ですが、PMBOKではチーム・マネジメントスキルであると紹介し、「自他の個人的な感情ではなく、集団の共感度も特定、評価、マネジメントする能力」であると解説しています。
能力開発
SECIモデル

SECIモデルとは、個人が持つ知識や経験がどのように組織で共有されていくのかを体系化したものです。
SECIモデルを紐解くキーワードは「暗黙知」と「形式知」です。
個人が持つ知識や経験を暗黙知と呼び、組織で共有できる形になった知識や経験を形式知と呼びます。
SECIモデルでは、暗黙知が形式知に変換されることで、個人の知識や経験が組織で共有できるようになると考えます。

ドレイファスモデル
ドレイファスモデルとは、1970年代にスチュアート・ドレイファス(Stuart Dreyfus)とヒューバート・ドレイファス(Hubert Dreyfus)の兄弟が定義した、人間が技能を習得し、極める過程のモデルです。
この考え方は、看護業界や航空業界、そしてソフトウェア開発業界など高度な技術習得を必要とする職業で適用できるとされています。
ドレイファスモデルの各段階の特徴を知り、自分自身やコーチングをしている相手がどの段階にいるかを知ることで、次の段階へのステップアップにつなげることができます。
タックマン・モデル

タックマン・モデルとは、チーム育成モデルであり、チームは5つの発展段階を経ていくというアイデアです。
タックマン・モデルを知ることによって、チーム・リーダーやプロジェクト・マネジャーはチーム形成のためにどのような手段を採ったらよいか理解でき、チーム内のトラブルに対して適切な処置を行うことができます。
ADKARモデル
ADKARモデルは、米国Prosci社のジェフリー・ハイアットが書籍『ADKAR: A Model for Change in Business, Government and Community』で紹介した組織変革モデルです。
比較的シンプルなモデルであり、組織変革として5つのステップとなる「Aware(認識)」「Desire(願望)」「Knowledge(知識)」「Ability(能力)」「Reinforce(強化)」の頭文字から「ADKARモデル」と呼ばれています。

メンター制度
メンター制度とは、新入社員や若手社員に対して個別に任命された先輩社員が指導にあたったり相談に乗ったりする人材育成支援制度です。
指導・相談役となる社員のことをメンター(mentor)、指導や助言を受ける社員のことをメンティ(mentee)と呼びます。
まとめ
チーム運営を円滑にするためには、様々な手法やフレームワークを組み合わせることが重要です。
チームの現状や課題を分析し、適切な手法を選択することで、チームワークを高め、生産性を向上させることができます。
ぜひ、この記事を参考にして、チーム運営に役立つ手法やフレームワークを積極的に活用してみてください。