スプリントレトロスペクティブ(ふりかえり)とは何か?スクラム開発の手法を解説

2021年4月13日

スプリントレトロスペクティブの概要

スプリントレトロスペクティブはスプリントの最後に行われる、スプリントのふりかえりの会議で「ふりかえり」や「ふりかえりミーティング」と呼ばれることもあります。
このスプリントレトロスペクティブは、スプリントの最後に行われるスプリントレビューに続いて行われる場合も多くあります。
スプリントレビューは「スプリントの成果」にフォーカスしますが、スプリントレトロスペクティブはスクラムチームの動きなど、プロセスにフォーカスすることが特徴です。

会議はスクラムマスターと開発チームが主体となって実施し、以下の事項が話し合われます。

  • 直近のスプリントについて、評価を行う
  • 良かった点や今後の課題について話し合う
  • スプリントの中で課題を解決した事例があれば、それを取り上げる
  • 次回以降のスプリントにおける改善点を出す

スプリントレトロスペクティブの目的は、今後のスプリントをより良く実施し、スプリントの効果と成果物の品質を上げることです。
この目的を達成するために、スプリントの良かった点、悪かった点を認識するとともに、建設的な意見を出し合うことが重要です。

加えて良かった点はどのように継続するか、課題をどう改善するかという点をアウトプットとして出す必要があります。

会議の時間は、最長で3時間を目安にするとよいでしょう。
スプリントの期間が短い場合は、それにあわせて会議の時間も短く設定される場合が多いです。
ただし、時間が短すぎるとおざなりな内容になりがちですので、ある程度の時間は取ったほうがよいでしょう。
また、一度決めた時間を厳守する役割は、スクラムマスターの職責です。

スプリントレトロスペクティブはなぜ必要なのか

スクラム開発において、スプリントレトロスペクティブは重要な役割を担っています。
タスクを担当した開発者自身はもちろんのこと、スクラムチームの成長のためにも、スプリントレトロスペクティブは欠かせません。

そもそも開発者に限らず、人間は一度やり方を決めると、その方法でずっと進めたがるものです。
しかし、そのやり方は、効率的・効果的でないかもしれません。
そのため、ふりかえりの機会を設け「進め方に課題はないか」「もっとよいやり方がないか」をチェックすることが大切です。

しかし、忙しい日々の中、自分一人では、なかなか時間を取って自らをふりかえる機会は取りにくいものです。
さらに、業務をより良く進めるためには他の方からの指摘も重要ですが、日常の業務の中ではなかなか課題を指摘しにくいこともあります。

こうした中、メンバーそれぞれが遠慮せず意見を述べ、業務向上に役立つ情報提供を行えるということは、スプリントレトロスペクティブという機会を設ける大きなメリットであると言えるでしょう。

スプリントレトロスペクティブはどのように行われるか

ここからはスプリントレトロスペクティブの流れを解説していきます。
上述の通り、スプリントレトロスペクティブは以下のような手順で進めていきます。

  • 直近のスプリントについて、評価を行う
  • 良かった点や今後の課題について話し合う
  • スプリントの中で課題を解決した事例があれば、それを取り上げる
  • 次回以降のスプリントにおける改善点を出す

スプリントレトロスペクティブでは、まずチーム・メンバーが今回のスプリントの自己評価をそれぞれ行います。
評価はできるだけ客観的な指標がよいため、処理できたタスクの数や、そのストーリーポイントなどの数値を使って話していくとよいでしょう。

例えば「今回のスプリントでは予定されていたタスクを全て終わらせた」や「ストーリーポイントを2時間と設定していたものを1時間で対応できた」というように、そのスプリントをふりかえり、評価していきます。

そして、スプリントの中で感じた課題があれば共有します。
例えば「連絡ミスが多い」や「追加の要求が多い」というように、現在の開発で感じている課題を発表していきます。

これらの課題はスプリントレトロスペクティブで話し合って解決することもあれば、業務の中で解決方法に気づくこともあります。
もし、今までに共有された課題が、今回のスプリントの中で解決されたのであれば、その方法を共有するとよいでしょう。

このように評価や課題、解決法の共有を行った後、次回以降のスプリントではどうすればより良く進められるかについて、全員でアイデアを出していきます。
よいことは全員で継続し、課題があれば原因を見つけて改善することが大切です。

意見がまとまったら次回以降のスプリントで実施する内容を決め、スプリントレトロスペクティブを終了します。

参考