RACIチャートとは何か?責任と役割の整理の仕方を解説

2019年12月31日

RACIチャートの概要

RACIチャートのイメージ図
RACIチャートのイメージ

RACIチャートとは、プロジェクトのチームメンバーの役割と責任を明らかにするために使用される手法であり、責任分担マトリックス(RAM)の一種です。
“RACI"は“Responsible(実行責任)”、“Accountable(説明責任)”、“Consult(相談対応)”、“Inform(情報提供)”の頭文字を並べたものであり、アクティビティや成果物に対しての役割を意味しています。
なおRACIは「レイシー」と日本語で発音され、RACI図と呼ばれることもあります。

RACIチャートの作り方

RACIチャートはアクティビティ・成果物とプロジェクト・メンバーの役割を表組にすることで作成されます。通常、第1行目や 第2行目 にプロジェクト・メンバーを掲載し、第1列にアクティビティや成果物を記載します。そしてプロジェクト・メンバーとアクティビティ・成果物が交わるマス目には“R”、 “A” 、 “C” 、 “I”の計4種の英字をとっていきます。
RACIの4種の文字はそれぞれ“Responsible(実行責任)”、“Accountable(説明責任)”、“Consult(相談対応)”、“Inform(情報提供)”を表しており、アクティビティ・成果物に対しての役割を意味しています。以下、表1の内容をもとに、これら4種の役割の内容を紹介していきます。

表1:RACIチャートの例

平成31年度春期 PM試験、問2をもとに作成。
アクティビティプロジェクト・メンバー
阿部伊藤佐藤鈴木田中野村
要件定義CAIIIR
設計RIICCA
開発ARRI
テストIICRAC

Responsible(実行責任)

RACIチャート上で“R”が割り振られているアクティビティや成果物について、該当メンバーは実行責任を負っています。
実行責任を負っているメンバーは、該当するアクティビティの実施や成果物の作成を行います。
表1の例で言えば、要件定義については野村が、設計では阿部が、開発では佐藤と田中が、テストについては鈴木が行うということがわかります。

Accountable(説明責任)

RACIチャート上で “A”が割り振られているアクティビティや成果物について、該当メンバーは説明責任を負っています。
プロジェクトの中で、該当のアクティビティ・成果物に対して説明を求められたとき、誰が説明を行うかを示しています。
表1の例で言えば、「設計」のアクティビティを行った際、他のプロジェクト・メンバーやステークホルダーから質問が出てきたとします。その際に説明を行ったり、その説明の内容に責任を負っているのは、実行責任を負った阿部ではなく、野村ということになります。
説明責任を負うメンバーは、前のアクティビティで実行責任を負っていた者が指名されることが多くあります。
例えば表1では、「設計」の前のアクテビティである「要件定義」を野村が実行しているため、ステークホルダーやプロジェクト・メンバーから「なんでこんな設計になったんだ?」という声があがったら、野村が作業を行った「要件定義」と「設計」の兼ね合いについて説明をすることになります。

Consult(相談対応)

RACIチャート上で “C”が割り振られているアクティビティや成果物について、該当メンバーは相談対応やサポートをする役割を担っています。
該当アクティビティ・成果物の実行責任までは負っていないものの、該当アクティビティ・成果物をよりよいものにするために実行責任を負っているメンバーの支援をしていきます。

Inform(情報提供)

RACIチャート上で “I”が割り振られているアクティビティや成果物について、該当メンバーは情報提供をする役割を担っています。
情報提供の役割は該当アクティビティ・成果物に対して実施やサポートを行うことはありませんが、必要があれば情報提供を行っていきます。
例えばプロジェクトで作成されるシステムのユーザー情報であったり、開発者が求める要件の情報を提供したりすることは、この“I”が割り振られたメンバーの役割となります。

RACIチャートのメリット・デメリット

RACIチャートのメリット

RACIチャートのメリットをまとめると以下のようになります。

  • 責任の明確化
  • 人員の確保
  • スケジュールの明確化

RACIチャートの最大のメリットはプロジェクト・メンバーの責任が明確になることです。
プロジェクト・メンバーの役割とアクティビティ・成果物を明確にすることで、プロジェクトの中で担当者が決まっていないことによるトラブルを未然に防ぐことができることです。また、その内容を一覧化しているため、状況を容易に把握することができます。
これはプロジェクト憲章と同様、同じ組織内のメンバーに対して作業の依頼を正式に依頼するときに役に立ちます。
RACIチャートがなければ、 「来月に開発をお願いしてもいいですか?」と 口約束で社内のプログラマーに依頼し、了承を得ていても、「ごめん、忙しくなって対応できなくなった」といわれてしまうことがあります。RACIチャートを作成して作業者の役割や責任を明確化することで、人員の確保を徹底することができます。
さらに、RACIチャートをプロジェクト外のスタッフにも共有することで、プロジェクトの状況を共有することができ、リソースの管理が円滑になります。
RACIチャートを作ったら、プロジェクトマネジメント計画書資源カレンダーに盛り込み、プロジェクト内外のスタッフと共有していくとよいでしょう。
この時に確認したスケジュールの状況はプロジェクトのスケジュールにも影響していくので、RACIチャートの作成の過程で、プロジェクトのスケジュールもより明確にすることができると言えるでしょう。

RACIチャートのデメリット

RACIチャートのデメリットとして、情報の詳細を記載しにくいというものが挙げられます。
例えばプロジェクトの方針を決める重要な「要件定義」というアクティビティに“R”の文字がついたメンバーに対してなんでもかんでも責任を押し付け、そのアクティビティに無限責任を背負わせてしまう形になってしまうと、プロジェクト・チームに参画してくれる人がいなくなってしまいます。
そのため、各役割の作業内容・責任の範囲については別途補足資料を設けたりして、“R”、 “A” 、 “C” 、 “I”の4文字だけでは説明できない内容を補うとよいでしょう。