コミュニケーション・モデルの3つの基本モデルを解説
コミュニケーション・モデルとは何か?
コミュニケーション・モデルとはコミュニケーションの仕組みを理解するのに役立つプロセスの体系的な表現です。
なぜコミュニケーション・モデルの理解が重要なのか
プロジェクトを進めるときなど、仕事をする上でコミュニケーションをとる機会は多くあります。
とくにPMBOKに沿ってプロジェクトを進めていくと、コミュニケーション・マネジメントの計画のプロセスの中でコミュニケーション・モデルに注意しながらコミュニケーション・マネジメント計画書を作成していかなければなりません。
しかしなぜコミュニケーション・モデルへの理解が必要なのでしょうか?
コミュニケーション・モデルを理解することは以下の5つの点で重要であると言えます[1]What is communication model? Functions of communication model, objectives of communication model, Importance of communication model。
- コミュニケーションプロセスの容易な理解
- 情報の流れを可視化
- コミュニケーションプロセスの各部の紹介
- コミュニケーションプロセスの簡単なプレゼンテーション
- コミュニケーションの複雑さを理解する
つまり、コミュニケーション・モデルを理解することにより、コミュニケーションプロセス、すなわちコミュニケーションの工程を理解し、情報の流れを可視化し、プロジェクト・チームのメンバーに各プロセスの紹介をすることができるようになり、コミュニケーションプロセスが何なのかを解説することができるようになります。
しかし、どれだけ簡略化しても、コミュニケーションプロセスというのは複雑性を抱えているものです。
このコミュニケーションプロセスの複雑性を理解し、それをプロジェクト・チームと共有し、その解決に向けてどうすればよいのかを考えていくことこそ大切なのかもしれません。
コミュニケーションの3つのモデル
コミュニケーション・モデルには以下のような一般的な3つのモデルがあります。
- 線形モデル
- インタラクティブモデル
- トランザクションモデル
ここからはこれら3つのモデルについて解説していきます。
線形モデル
線形モデルの特徴
線形モデルは、単純な一方向のコミュニケーション・モデルです。
メッセージは送信者から受信者へ直線的に流れ、受信者からの反応であるフィードバックの概念はありません。
メッセージの送信者はメッセージを送り続け、受信者はただひたすらそのメッセージを受け取るだけです。
線形モデルの例
テレビやラジオなどのマスメディアは線形モデルの好例です。
テレビでは、情報を一方的に発信し、情報の受け手からフィードバックを受けることはあまりありません。
インタラクティブモデル
インタラクティブモデルの特徴
インタラクティブモデルでは、 メッセージの送信者と受信者が入れ替わってコミュニケーションをとっていくモデルです。
こうした特徴から、インタラクティブモデルは後にみるトランザクションモデルとあわせて「双方向型」のコミュニケーション・モデルであるとも言えます。
インタラクティブモデルの例
インタラクティブモデルは、対話が良い例となります。
また、手紙やメールのやり取りなどもインタラクティブモデルの例と言えるでしょう。
トランザクションモデル
トランザクションモデルの特徴
トランザクションモデルはメッセージの送信者・受信者という2つの役割を担った人物同士がコミュニケーションをとるモデルです。
トランザクションモデルの例
トランザクションモデルの例としては、ネット上のチャットなどをイメージすればよいでしょう。
メッセージ送信の手順
上記3つのコミュニケーション・モデルのいずれのモデルであっても、一般的にメッセージは以下の手順で送信され、受信者が受け取ります[2]PMBOK第6版、371頁。。
- コード化
- メッセージの伝送
- 解読
コード化というのは、テキストや音声などの伝送用の形に変化させることです。そしてそのコード化したメッセージを伝送します。
伝送の際には、伝送する媒体によってメッセージが損なわれたりします。
受信者は送られてきたメッセージを受け取った後に、解読を行います。
テキストの内容を理解することも解読にあたりますが、そのテキストが何らかの暗号化をされているかもしれません。そうした場合は、読み取りができる形に暗号を解読していかなければなりません。
そしてメッセージを受信した受信者は以下の手順でフィードバックを行います。
- 確認
- フィードバックや返信
コミュニケーションの難しさ
線形モデルでは受信されたか・伝わっているかの確認が難しい
線形モデルでは、受信者側に正常にメッセージが送られたか、そしてその内容が伝わっているかは送信者で把握できないことが多々あります。
そのため、線形モデルのコミュニケーションをとるマスメディアの多くは、送っている情報が正常に受信されているかどうかを確認する技術にも長けています。
しかし、そのような技術をもたないで線形モデルのコミュニケーションを使う場合は、正常に情報が伝わっているかを確認する術を用意しておいた方がよいでしょう。
双方向型のコミュニケーションではメッセージの量に注意
双方向型のコミュニケーションでは、メッセージの量に注意しなければなりません。
あまりに大量のメッセージを送ると、受信者はそのメッセージを消化できなくなってしまいます。
異文化コミュニケーションの問題
異文化コミュニケーションというと、海外の方とのコミュニケーションをイメージしてしまいますが、他の会社など、自分が所属していない組織とのコミュニケーションも異文化コミュニケーションと言えるかもしれません。
自分が所属していない組織では文化が異なります。ここでいう文化とは、世代や性質、専門領域などを指します。こうした文化の違いがノイズや障壁となり、メッセージの正常な伝達を阻害します。