チームの育成モデル・タックマン・モデルとは何か?5つの発展段階を解説
タックマン・モデルの概要

タックマン・モデルとは、チーム育成モデルであり、チームは5つの発展段階を経ていくというアイデアです。
その名の通り、タックマン・モデルはアメリカの心理学者であるブルース・ウェイ・タックマン(Bruce Wayne Tuckman)が1965年に“Developmental Sequence in Small Groups."で発表したモデルです[1]Forming, Storming, Norming, and Performing – From MindTools.com。
当初は「成立期・動乱期・安定期・遂行期」の4つの段階を経てチームは成長するというモデルでしたが、1970年代に5つ目の「解散期」が追加されました[2]Tuckman: Forming, Storming, Norming and Performing Model – BusinessBalls.com。
タックマン・モデルを知ることによって、チーム・リーダーやプロジェクト・マネジャーはチーム形成のためにどのような手段を採ったらよいか理解でき、チーム内のトラブルに対して適切な処置を行うことができます。
タックマン・モデルの5つの発展段階
上述の通り、タックマン・モデルでは、チームは5つの段階を経て発展していくとします。
改めてその段階を整理すると以下のようになります。
- 成立期
- 動乱期
- 安定期
- 遂行期
- 解散期
ここからは、これらの5つの発展段階について見ていきましょう。
成立期
チームの初期段階は「成立期」です。
チームが結成されたばかりの「成立期」では、チームは自分たちの役割と責任を学んでいきます。
まだチーム・メンバーはチームのことを考えず、自分自身の意見も主張しませんが、チーム・リーダーやプロジェクト・マネジャーの指示以外は対応しないというような閉鎖的な状態になることもあります。
動乱期
チームは「成立期」を終えると、「動乱期」に移っていきます。
「成立期」と比べた時の「動乱期」の特徴は、チーム・メンバーが自分自身の意見を主張し始める点にあります。
チーム・メンバーは自分自身のことだけを考えた意見を述べたり、異なる考えや観点に対して閉鎖的な態度を取ってしまうこともあります。
安定期
「動乱期」を超えたチームは「安定期」に入っていきます。
「動乱期」と比べた時の「安定期」の特徴は、チーム・メンバーがお互いの意見を尊重しはじめ、自分たちの行動を調整していきはじめることです。
この「安定期」と前の段階である「動乱期」は明確に切り替わるだけでなく、2つの段階が並行していく形で、対立と協調を繰り返していく傾向にあります。
遂行期
「遂行期」はチームの実質的な最終段階です。
チーム・メンバーは自分たちの役割と責任を十分に理解し、お互いが協調して仕事を行うようになります。
チーム・メンバーは自発的に行動するようになるため、チーム・リーダーやプロジェクト・マネジャーがいちいち指示をする必要はなく、むしろ委任されることを好むようになります。
解散期
プロジェクトが完了するなどしてチームが役割を終えると、そのチームは「解散期」を迎えます。
とくに何もせずにチームが解散されることも少なくありませんが、チームとして活動して得られた教訓をまとめていったり、プロジェクトで得られたプロダクトを使っていく上で必要な引継ぎ事項がないかを考えていくことが大切です。
タックマン・モデルのメリット
タックマン・モデルのメリットは、チームの各発展段階においてチーム・リーダーやプロジェクト・マネジャーが何を気にしなければならないか、どのような対応を行えばよいのかを把握しやすくなることです。
発展段階に応じたチーム・リーダーやプロジェクト・マネジャーの対応は以下のようにまとめることができます[3]Forming, Storming, Norming, and Performing – From MindTools.com をもとに作成。
成立期 | チームの目標や各チーム・メンバーの役割と責任を共有する。 |
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動乱期 | 紛争を解決し、信頼関係・協力体制を築く。 |
安定期 | チームが目標に向かうサポートをする。 |
遂行期 | チーム・メンバーに委任し、チーム・メンバーが仕事をしやすい環境を整える。 |
解散期 | チーム解散のための手続きを行うとともに、表彰や打ち上げなどを準備する。 |
往々にして動乱期がチーム・リーダーやプロジェクト・マネジャーが最も忙しくなる時期であり、チームの関係をよりよいものにしていくために、様々な施策を打っていかなければなりません。
前の段階に戻らないように
今回はチーム育成のモデルであるタックマン・モデルについて見てきました。
タックマン・モデルはチームが成立・動乱・安定・遂行・解散の5つの段階を経るとしたアイデアです。
ただし、安定期のところで触れた通り、これらの段階は明確に分かれているわけではなく、不可逆な関係でもありません。
つまり、安定期から最も大変な動乱期に戻ってしまうということはあり得る話であり、チーム・リーダーやプロジェクト・マネジャーは前段階に戻らないように注意していかなければなりません。
前段階に戻らないためにも、「今の段階でどのような対応が適切か?」を見きわめていき、チーム・ビルディングをしていくことが大切です。