ハード・イージー効果とは何か?自信過剰の原因となる認知バイアス

2023年10月23日

ハード・イージー効果の概要

ハード・イージー効果(hard–easy effect)とは、難しいと思われるタスクの成功確率を過大評価し、簡単だと思われるタスクの成功確率を過小評価する傾向として現れる認知バイアスです。
ハード・イージー効果は、たとえば個人が比較的簡単な質問に答える時はある程度の自信を失い、比較的難しい質問に答える時はある程度の自信を示すときに発生します。
この効果の原因はいわゆる「自信過剰」とされており、難しい物事に対して多くの人が自信過剰になっていることを示しています。

ハード・イージー効果の実験

ハード・イージー効果の代表的な実験に、1997年にウィリアム M. ゴールドスタイン(William M. Goldstein)とロビン M. ホガース(Robin M. Hogarth)が取り組んだものがあります[1]https://en.wikipedia.org/wiki/Hard%E2%80%93easy_effect#Causes
彼らは実験グループに「アリストテレスとブッダ、どちらが先に生まれましたか?」「ジッパーが発明されたのは 1920 年以前ですか?」などの一般知識の質問を含むアンケートを実施しました。
被験者は正しいと思う答えを記入し、その答えがどの程度確かであるか、つまり正解に自信があるかを評価しました。その結果、被験者は実験者が簡単だと指定した質問に対する自分の答えに自信がなくなり、難しいと指定された質問に対する自分の答えを過信する傾向があることが分かりました。

ハード・イージー効果に関連するもの

認知バイアス

今回のハード・イージー効果は認知バイアスの一つです。
認知バイアスについては下記の記事をご参照ください。

ダニング=クルーガー効果

認知バイアスの中で、ハード・イージー効果に近いものが「ダニング=クルーガー効果」です。
ダニング=クルーガー効果とは、心理学者のデイビット・ダニング(David Dunning)ジャスティン・クルーガー(Justin Kruger)が提唱した認知バイアスに関連する効果の1つで、能力の低い人が実際の評価と自己評価を正しく認識できず、誤った認識で自分自身を過大評価してしまう心理現象です。
詳しくは下記の記事もご参照ください。

参考

  • https://thedecisionlab.com/biases/hard-easy-effect(2023年10月20日確認)
  • https://en.wikipedia.org/wiki/Hard%E2%80%93easy_effect(2023年10月20日確認)

1https://en.wikipedia.org/wiki/Hard%E2%80%93easy_effect#Causes