非注意性盲目と見えないゴリラの実験とは何か?

2023年7月25日

非注意性盲目とは

非注意性盲目(Inattentional Blindness)とは、人間が特定の課題や刺激に集中することで、その他の周囲の情報や刺激を認識できなくなる現象を指します。
言い換えれば、人間は意識的に注意を向けていることに焦点を当て、他の情報を見落とす傾向があるということです。この現象は、私たちが普段思っているよりも、知覚が限られていることを示しています。

見えないゴリラの実験

非注意性盲目が実証された実験に見えないゴリラの実験(Invisible Gorilla Experiment)というものがあります。

見えないゴリラの実験は、クリストファー・チャブリス(Christopher Chabris)ダニエル・サイモンズ(Daniel Simons)が2010年に出版した“The Invisible Gorilla"で紹介されている認知心理学の実験です。
この実験は、1999年に非注意性盲目を実証することを目的として実施されました。

見えないゴリラの実験では、参加者はバスケットボールを前後にパスする人々のビデオを見るように指示されました。さらに参加者は、一方のチームが行ったパスの数を数えるように指示されました。
ビデオの途中で、ゴリラの着ぐるみを着た人がビデオに登場して中央に立ち、胸を叩いて、画面から出て行きました。

驚くべきことに、参加者の約半数が、ゴリラが約9秒間視界にあったにもかかわらず、ゴリラに気づきませんでした。
このことから、クリストファーとダニエルは予期せぬ目立つ出来事が目の前で起こっても、個人の注意が特定のタスクに集中するあまり、予期せぬ出来事を完全に見逃してしまう可能性があることを示しました。
見えないゴリラの実験でいえば、パスを数えることに集中するあまり、参加者はゴリラの存在に気づきませんでした。

この見えないゴリラの実験は、人間の注意と知覚の限界を強調するために心理学や他の分野で使われるようになりました。
見えないゴリラの実験は、私たちの知覚が想定されるほど包括的なものではないこと、そして特定のタスクや目標に夢中になっていると、重要な情報を簡単に見落としてしまうことを示しています。

参考

  • https://en.wikipedia.org/wiki/Inattentional_blindness
  • https://academy4sc.org/video/selective-attention-invisible-gorilla-experiment-see-through-your-focus/