I3理論とは何か?攻撃的な行動のメカニズムを解説

I3理論の概要

I3理論は心理学者のイーライ・J・フィンケル(Eli J. Finkel)が開発したフレームワークの一つで、暴力やいじめなどの攻撃的反応の3つの側面を示しています。
I3理論では、人間の攻撃的反応は「引き金要因(Instigation)」「推進因(Impellance)」「抑制因(Inhibition )」で怒りなどの攻撃的反応を説明しています。

引き金要因

引き金要因とはその名のとおり、攻撃的な行動の引き金となる要因を指しています。
たとえば、侮辱、欲求不満、損害などが引き金要因になります。

推進因

推進因は引き金要因で起きたことを行動につなげる要因です。
侮辱を受けたり、欲求不満になったりしても、誰しもが必ず攻撃的な行動をとるわけではありません。取り巻く環境や持っている情報など、さまざまな要因が後押しして、攻撃的な行動につながります。

抑制因

引き金要因、推進因が存在しても、それでもすべての人が攻撃的な行動を必ずとるわけではありません。
それは抑制因が存在することによって、攻撃的な行動を制止するからです。

この抑制因には心理学などで使われる実行機能が関係しています。
その人が心身ともに健康であれば、引き金要因や推進因があったとしても、怒りのような攻撃的な行動を抑制することができます。
しかし、「疲れ果てている」など、精神的に消耗していると、実行機能が働かず、攻撃的な行動を抑制することができなくなります。

参考

  • デイヴィッド・デステノ(著)、住友進(訳)『なぜ「やる気」は長続きしないのか―心理学が教える感情と成功の意外な関係』白揚社、2020年