残作業効率指数(TCPI)とは何か?プロジェクトマネジメントで使われる用語を

2021年8月17日

残作業効率指数の概要

残作業効率指数とは、主にプロジェクトのコストマネジメントにおいて登場する手法で、「TCPI(To-Complete-Performance-Index)」とも呼ばれます。
主に進行中のプロジェクトのパフォーマンスを見積もるための指標です。

EVMとは

残作業効率指数が特に使われるのは、「EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)」というコストコントロールの手法においてです。
EVMはコストコントロールの手法です。主にプロジェクトの実績や進捗を、客観的に測定することを目的としています。
実際にプロジェクトを進行する際、そこには必ず予算やコストが関わってきます。
プロジェクトの進行中にそれらを監視する方法がEVMであり、EVMの過程で使われる指標の一つに残作業効率指数があります。
EVMについては、下記の記事もご参照ください。

残作業効率指数は残り作業のパフォーマンスを予測する指標

残作業効率指数は、「残りの作業を予算内に収めるために達成されるべきパフォーマンス」です。
現実でプロジェクトを進行しているとき、すべての作業が計画や予算通りに進むことはほとんどありません。
残作業効率指数はプロジェクトの途中で現在の状況と計画時の予算・コストを比較し、「今後の作業はこれくらいのパフォーマンスで進めるべきだ」という指標を出してくれます。

残作業効率指数の計算

残作業効率指数を求める計算には2つの方法があります。
1つは「完成時の総予算」を使ったもの、もう1つは「完成時の総コスト見積もり」を使ったものです。
ここからはこれら2つの方法を解説していきます。

完成時総予算から求める計算

プロジェクト計画時に出されるのが「完成時総予算(BAC/Budget at Completion)」です。
すべてのプロジェクトは、基本的にこのBACを達成するように進行されます。

以下がBACを用いた残作業効率指数を求める計算式です。

  • (BAC-EV)/(BAC-AC)=TCPI

EV「出来高(Earned value)」を指します。これは「完了した作業に使用された予算」です。
予算が100万円の作業を終わらせたとき、EVは100万円です。たとえ作業に掛かった実際のコストが1000万円や1万円であっても、EVはあくまで予算から導き出されます。

AC「実コスト(Actual Cost)」を指します。これは「ある時点までの作業に掛かった実際のコスト」です。
たとえば現時点で予算100万円分の作業が終わっていたとしても、実際に掛かったコストが1000万円であれば、ACは1000万円になります。

すなわち「完成時総予算(BAC)」による計算式を言葉で表すと、「完成時総予算から出来高を引いたものを完成時総予算から実コストを引いたもので割った値」になります。

完成時総コスト見積もりから求める計算

実際のプロジェクトでは、残念ながら計画時に出された「完成時総予算(BAC)」が実現不可能となってしまうこともあります。
その場合、残作業効率指数はBACではなく「完成時総コスト見積もり(EAC/Estimate At Completion)」を使って求めます。
EACはその名の通り、プロジェクトの計画時に出されるすべてのコストの見積もりです。

以下がEACを用いた計算式です。

  • (BAC-EV)/(EAC-AC)=TCPI

先程と異なるのはEACの部分のみとなります。
この式を言葉で表すと、「完成時総予算から出来高を引いたものを、完成時総コスト見積もりから実コストを引いたもので割った値」となります。