パラメトリック見積り(係数見積り)とは何か?PMPの用語を事例で解説

2020年9月7日

パラメトリック見積りの概要

折り鶴の図

パラメトリック見積りとは、係数見積りとも呼ばれ、過去のデータを基にしてパラメーター(変数)を設け、プロジェクトやアクティビティのコストや所要期間を見積る技法のことです。

例えば、折り鶴を100羽作成する時間を見積る場合を考えてみましょう。
過去に10羽を60分で作成したという実績があった場合、1羽につき必要とする時間は6分であると考えられます。
そうなると折り鶴にかかる時間は以下のような計算式で推計されます。

  • 折り鶴の所要時間 = 6分 × 折り鶴の羽数

この計算式にあてはめると、折り紙を100羽折るためには600分、つまり10時間かかる計算となります。
このように、過去のデータを使って式を組み立て、所要期間やコストを見積るのがパラメトリック見積りです。

パラメトリック見積りと類推見積りとの違い

類推見積りとは何か?

プロジェクトのアクティビティの期間やコストを見積る方法は様々ありますが、類推見積りはパラメトリック見積りとしばしば比較されます。
類推見積りも過去のデータを基に所要期間やコストを見積りますが、類推見積りが過去のデータを多少の調整をしながらそのまま使用するのに対し、パラメトリック見積りは過去のデータから推計式を作成し、そこから見積りを求めていきます。

パラメトリック見積りと類推見積りのどちらを使うか?

類推見積りは同じようなプロジェクトやアクティビティのデータがある場合、大きな効果を上げることができます。
一方で、見積りを行おうとしているプロジェクトやアクティビティの規模や複雑さが過去のデータと大きく異なっている場合は、類推見積りの精度は落ちてしまいます。

パラメトリック見積りは過去のデータから推計式を作って対応していくため、プロジェクトやアクティビティの規模の変化にも柔軟に対応することができます。
その一方で、同様のプロジェクトやアクティビティがある場合は、推計式を使って見積るよりも、類似見積りを使った方が現実の値に近いことがあります。

例えば、先ほどの折り鶴の例でいうと、パラメトリック見積りで「折り鶴の所要時間 = 6分 × 折り鶴の羽数」という推計式を使っていた場合、100羽の折り紙を作成するまでの時間を見積ると、10時間になります。
しかし、過去に100羽の折り鶴を作成するという作業を行っており、その時の作業時間が12時間であった場合、類似見積りで作業時間を見積ると12時間となります。

このように、過去に同様のプロジェクトやアクティビティを経験していた場合、類似見積りの値を採用した方が実際の作業時間として正確な場合が多くあります。
なぜなら、パラメトリック見積りはあくまでも理論値であり、実際の作業には推計式に含まれていない様々な要因が所要時間やコストに影響を与えているからです。
先ほどの折り鶴の例で言えば、折り鶴の羽数が多いことによるモチベーションの変化やそれに伴う生産性の変化が推計式には含まれていないので、過去のデータと推計値に差がでています。

もちろん、推計式に生産性の変化などの変数も加えることにより、実際の数値に近い値を出すように調整していくこともできます。
しかし、そのような変数を加えるのも一苦労なので、同様のプロジェクトやアクティビティがあるのであれば、類似見積りを行った方が簡単かつ現実に即した値を見積ることができるでしょう。

実際にはパラメトリック見積りと類推見積りを併用していく

以上見てきたように、パラメトリック見積りにはパラメトリック見積りの長所と短所があり、類推見積りもまた同様です。
そのため、実際のプロジェクトではどちらか一方を使うというよりも、パラメトリック見積りと類推見積りを併用して所要期間やコストを見積っていきます。