【新QC7つ道具】連関図法とは何か?要因同士の連関図を作成する手順を解説

2022年7月13日

連関図法の概要

連関図法のイメージ
連関図法のイメージ(画像はWikiより)

連関図法とは、複雑な事象における要因を矢印で結んでいくことで要因同士の関係性を整理し、問題解決の糸口を見つける手法です。
因果関係から原因を分析していく他、漠然とした状況の整理や目的と手段の関係を可視化するためにも利用されます。
連関図法は新QC7つ道具のひとつで、数値化することができない言語データを扱います。
英語ではrelations diagraminterrelationship diagramと呼ばれています。

連関図法が採用される場面

連関図法には以下の特徴があります。

  • 現状分析向きの手法
  • 多くの要因と関連している主要因を特定
  • 要因同士の意外な関係性から発想の転換が可能
  • 製造業以外の業界や間接部門でも使える手法

上記のように、もともと製造業の業務改善のために採り入れられた連関図法ですが、今日では幅広い分野で用いられています。
システム開発の場面では、現在の業務を整理し、どのような機能が必要なのかを考える際に、連関図法が使われます。

連関図法の手順

連関図法は以下のステップで進めていきます。

  1. 事前準備
  2. メインテーマを決める
  3. 一次要因を書き出す
  4. 二次要因を書き出す
  5. 因果関係のある要因同士を矢印で結ぶ
  6. 主要因を特定する
  7. 主要因や新たな発見を文章化する

ここからは、これらの手順を解説していきます。

事前準備

模造紙やロール紙などの大きい紙と、要因を書き出すためのカードや大きめの付箋紙、赤黒のペン、鉛筆、消しゴム、テープなどを用意します。

メインテーマを決める

解決したい課題をメインテーマとして定めます。
主語と述語を明確にした具体的な文章でカードに赤字で記入します。
記入できたら模造紙の中央に置きます。

一次要因を書き出す

メインテーマの直接的な原因となっている要因(一次要因)を黒字でカードに書いていきます。
この段階での要因の洗い出しには漏れがないようにします。
漏れがあるとそれ以上の深掘りができなくなってしまうからです。
一次要因をカードに書き出したら中央のメインテーマを囲むように置いていきます。

二次要因以降を書き出す

手順2と同様に、一次要因の原因となる二次要因を黒字でカードに書き込み、二次要因のカードを一次要因の周辺に配置します。
続けてそれぞれのカードに対してなぜなぜ分析のように「なぜ?」の問いかけを繰り返します。
このようにして三次要因・四次要因以降へと可能な限り要因の深掘りを続けます。

因果関係のある要因同士を矢印で結ぶ

考えられる要因をすべて洗い出してメインテーマを中心に広がった全体図ができたら、因果関係のある要因同士を見つけます。
この段階では「原因→結果」の矢印を鉛筆で結び、仮の矢印とします。
すべての要因を結んだ後に見直してカードの配置や矢印を修正する場合があるからです。
矢印で結んでいくと今まで気がつかなかった意外な関係性が見えてくることがあります。
カードの位置と因果関係が決定できたら矢印をペンで書いていきます。

主要因を特定する

連関図で示された関連性を元にして主要因を見つけ出します。
メンバー全員で要因ごとに点数の重み付けをして点数が多い要因を主要因とみなすのが一般的です。
重み付けのポイントとなるのが連関図の各カードから出ていく矢印と入ってくる矢印の数です。
矢印が多い要因に高い点数を付けていくと主要因を特定しやすくなります。
主要因が複数考えられる場合は無理にひとつに絞り込む必要はなく、3つくらいまでにします。
特定できた主要因は色を付けたり枠に囲んだりするなど強調して、連関図を見た時に一目でわかるようにします。

主要因や新たな発見を文章化する

特定できた主要因や分析の過程で新たに明らかになった事実などを文章にまとめます。
文章化できたら作成した連関図も併せて1つの資料としておくと第三者にも共有できる情報資産となります。

連関図法を使う際の留意点

連関図法では次の2点に特に気をつけておくとよいでしょう。

複数のメンバーで行う

プロジェクトチームなど複数人が集まってブレインストーミングしながら要因を挙げていきます。
単独では要因を洗い出す際に抜けや漏れがあったり、着眼点に偏りが生じてしまったりするからです。
複数が関わることで客観性が保たれ、全体を俯瞰できます。
その他にも課題や問題をその場で共有でき、合意形成が容易になるというメリットもあります。

事実データを使う

一次原因から主原因まで使用する言語データは事実を用います。
事実とは異なる推測が混ざると誤った主要因を特定してしまう可能性があるからです。
事実から推測が導かれる場合も実証データを集めて検証しなければなりません。
連関図法は言語データを扱う手法ですが、数値データがある場合は言語データに数値データを添えておくのも有効です。
明確な根拠から事実を捉えるようにしましょう。

連関図法のメリット・デメリット

これまで見てきたとおり、連関図法は簡単に作成することができ、その準備も大きな負担ではありません。連関図法はこの作成のしやすさがメリットであり、課題や状況を迅速に整理したい時に効果を発揮します。
一方であまりにも複雑すぎる事象の整理には不向きであり、たとえば一次要因を洗い出した時に、50個以上の一次要因が発見されるようであれば、他のツールを使うか、整理したい事象や課題をしぼって再度取り組む方がよいでしょう。

連関図法に似た手法

連関図法に似た手法はいくつか存在します。ここからは代表的な例をご紹介いたします。

KJ法は情報を整理する手法です。カードに書き出すため、試行錯誤がしやすく、大きな問題や事象を整理するのに役立ちます。
根本原因分析特性要因図は特定の課題を深く分析したい時に適した手法です。

参考