「As-Is / To-Be」モデルとは何か?現状と理想を把握するための手法

2020年12月29日

「As-Is / To-Be」モデルの概要

「As-Is / To-Be」モデルのイメージ

「As-Is / To-Be」とは、現状と理想のギャップを的確に認識し、取り組むべき課題を抽出したうえで、行動に移すためのビジネスフレームワークです。

「As-Is」とは、現在の状態がどうであるかを表すための用語です。

「To-Be」とは、理想の状態を表すための用語です。実現可能かどうかの制約を受けない純粋な理想(あるべき姿)のことを言います。実現可能な目標という意味では「Can-Be」という用語が使われることがあります。

動画でも解説しています

「As-Is / To-Be」モデルについては、動画でも解説していますので、よろしければご覧ください。

なぜ「As-Is / To-Be」が必要なのか

ビジネスの戦略立案や会社での日常業務、個人的な目標達成まで、対象の規模にかかわらず、理想の姿に近づくうえで解決すべき問題点や課題は多数存在します。しかし、大抵の場合、そういった問題点や課題は明確に把握されていないことがほとんどです。
課題を解決するためには、課題を明確に把握することが必要です。そこで「As-Is / To-Be」モデルが必要となってきます。
「As-Is / To-Be」モデルは、現状と理想の状態とのギャップを導き出し、何をすべきか、何が足りていないのかを、客観的に可視化させる非常に有効なツールです。

「As-Is / To-Be」はどのように使用するのか

テーマを設定する

テーマを設定しておかないと、議論が関係のないところまで飛躍してしまい、収拾がつかなくなってしまいます。
まずは、何をテーマに議論するのかを設定するところから始めましょう。
ここでは、「働き方について」をテーマに設定してみます。

「To-Be」を設定する

まずは「To-Be」の方から設定します。「As-Is」の方から考えてしまうと、「To-Be」を考える際に、達成可能なこと(「Can-Be」)に引っ張られてしまう傾向があるからです。あくまでも制約のないあるべき姿を考えることが大切です。
売上やコスト、業務量などの定量的な指標はもちろん、会社のイメージや職場環境、社員のモチベーションなどの数値化できない抽象的なものが含まれても問題ありません。
このときに理想を実現するスパンについても設定するとより効果的です。
「働き方について」というテーマの場合は、「To-Be」は、たとえば「6ヶ月後は残業を減らしてちゃんと休みが取れるようにする」などと設定します。

「As-Is」を設定する

次に「As-Is」を設定します。「To-Be」で設定した項目と対になるように設定していきます。理想に対して、現状はどうであるのかを考えます。
先であげた「To-Be」に対しては、「残業が多く、休日出勤も常態化している」となるでしょう。

課題を抽出する

「To-Be」と「As-Is」のギャップを分析することで、課題が浮き彫りになってきます。何が解消されればいいのか。それが課題となります。
ここでも先の例をもとに課題を抽出してみましょう。下記のものがあげられます。

  • 業務量が多い
  • 業務効率が悪い
  • 社員数が少ない
  • 人の入れ替わりが激しい(新入社員が定着しない)

課題に優先順位をつける

課題の抽出が終わったら、重要なものから優先順位をつけていきます。この際、自分たちでコントロール可能なもの、コントロール不可能なものを分類しておくことも必要です。コントロール可能なことから手をつけていきましょう。
たとえば、「業務量が多い」という課題はすぐにはコントロール不可能な課題かもしれません。

課題を行動に落とし込む

課題を抽出するだけで終わってはいけません。課題を解決するために行動することがもっとも重要です。
課題を行動に落とし込む際は、6W2H(いつ/When・どこで/Where・誰が/Who・誰に/Whom・何を/What・なぜ/Why・どのようにHow・どれだけ/How much)を意識して予定を立てましょう。
「社員数が少ない」という課題に対しては、「求人活動を行う」という行動に落とし込むことができます。6W2Hを使って予定を立てます。

  • いつ:1ヶ月以内に
  • どこで:社内で
  • 誰が:課長が
  • 誰に:求人情報の営業担当に
  • 何を:求職者情報を
  • なぜ:新入社員を増やすため
  • どのように:興味を惹く求人広告を用いて
  • どれだけ:3名

まとめ

ビジネスの戦略立案や日常業務の改善、個人の目標達成にも効果的な「As-Is / To-Be」モデルについて紹介しました。「As-Is / To-Be」モデルは、さまざまな場面で幅広く効果を発揮することができます。これから課題の改善に向けて取り組もうという方は、ぜひ「As-Is / To-Be」モデルを取り入れてみてください。

参考