PMOの責任をRACIチャートから考える

PMOはプロジェクトにどこまでの責任を負うのか?

PMOというのはプロジェクトマネジメントオフィスのことで、 プロジェクト・マネジャー(以下、プロマネと略記)に対し、支援・管理・提言を行う組織や部局のことを指します。
PMOはプロマネに支援・提言をする立場なので、プロジェクトの中でPMOの責任や位置づけが不明瞭になることはないでしょうか。
その結果、プロマネに対して適切な支援ができず「うちのPMOはつかえないな」と思われてしまうことがあるかもしれません。
今回はRACIチャートを使ってPMOの責任の範囲を考えていきます。
なお、PMOやRACIチャートについておさらいをしたい場合は、以下の記事をご参照ください。

PMOの種類別に責任の範囲を考える

PMOの種類

PMOには「支援型」「コントロール型」「指揮型」の3つの種類がありました。
今回はこれら3つの種類別に責任の範囲を考えていきます。

支援型PMOの責任

支援型PMOはあまり事細かくプロマネに指示をしませんが、資料のテンプレートを提供したり、ベスト・プラクティスを教えたりすることで、円滑なプロジェクト進行を支援します。
そのため支援型PMOは、RACIチャート上では“Consult(相談対応)”の役割を担っていると言えるでしょう。

コントロール型PMOの責任

次にコントロール型PMOの場合を見ていきましょう。
コントロール型PMO はプロマネが独り立ちできるかできないかの状況で採用され 、プロマネに資料のテンプレートを提供するだけでなく、どのような内容を記載するかなど、支援型に比べてよりつっこんだところにまでアドバイスをしていきます。
コントロール型PMOが採用されているプロマネは担当したアクティビティの作業はできるかもしれませんが、まだまだその説明責任を負えるほどではありません。
そのため、コントロール型PMOはRACIチャート上“Accountable(説明責任)”を負っていると言えるでしょう。

指揮型PMOの責任

指揮型PMOは主に新人プロマネなど経験の少ないプロマネに対して採用され、コントロール型PMOよりさらに細かくプロマネの仕事に口を出していきます。
プロマネの作業や対応方法を事細かに指示したとしても、PMOは“Responsible(実行責任)”を負うわけではありません。あくまで作業の実行責任を負うのは対応しているプロマネであり、指揮型PMOであっても負うのは“Accountable(説明責任)”までです。
作業に追われていると新人プロマネであれば「PMOがちょっとくらいは作業をしてくれてもいいのに……」と思ってしまうかもしれませんが、それはPMOの役割ではないことを伝える一方で、PMOは実行責任者と変わらないほど丁寧にプロマネをサポートしていく必要があります。

つかえないPMOとしないために

今回はPMOの種類別にRACIチャート上の責任の範囲を考えていきました。
支援型PMOではプロマネに対して強い指示を行わないため負うとしても「相談対応」の責任程度だと考えられます。
他方、コントロール型PMOや指揮型PMOは実際の作業に細かく指示を出すため、プロジェクト・チームのメンバーやステークホルダーに説明を求められたらPMOが出張る必要があります。
「つかえないPMO」と言われないために、 このようにPMOの役割・責任の範囲を明確にし、プロマネに共有することで、プロマネがPMOに何を依頼できるのかを明らかにしておくとよいでしょう。