資源マネジメント計画書とは何か?PMBOK・PMPの用語を解説

2020年5月10日

資源マネジメント計画書とは

資源マネジメント計画書とはプロジェクトマネジメント計画書の構成要素の1つであり、プロジェクトで使用するヒト・モノ・カネという資源の獲得、配分、監視、管理の方法を記述した文書です。
ヒト・モノ・カネの内、ヒトの管理のみを取り出したチーム・マネジメント計画書とモノ・カネの管理に言及した物的資源マネジメント計画書に分けることもできます。
PMBOKでは資源マネジメントの計画で作成される計画書です。

資源マネジメント計画書の構成

資源マネジメント計画書では、以下のような事項に言及していきます。

  • 資源の特定
  • 資源の獲得
  • 役割と責任
    • 役割
    • 権限
    • 責任
    • コンピテンシー
  • プロジェクト組織図
  • プロジェクト・チーム資源のマネジメント
  • トレーニング
  • チーム育成
  • 資源のコントロール
  • 表彰計画

ここからは資源マネジメント計画書の構成要素を詳しく見ていきましょう。

資源の特定

資源の特定では、プロジェクトに必要なヒト・モノ・カネを特定し、定量化する方法を記述していきます。
例えばプロジェクト憲章スコープ・ベースライン要求事項文書から、プロジェクトに必要な作業を確認し、そこから必要となる資源を特定することができます。
さらに品質マネジメント計画書で資源の求められる質(レベル)を把握し、プロジェクト・スケジュールから資源が必要となる期間を確認することで、具体的にどのくらいの質でどのくらいの量の資源が必要なのかを割り出します。

資源の獲得

資源の獲得では、実際に資源を獲得する方法を記載していきます。
人的資源の獲得方法には同じ組織内のスタッフを招集する方法もありますが、アウトソーシングをするという方法もあります。
また、設備などのモノであれば、購入するだけでなく、リースなどの方法もあります。
このように、様々な獲得方法の中で、各資源をどのように獲得していくのかを記述していきます。

役割と責任

RACIチャートのイメージ図
RACIチャートのイメージ

人的資源に対して、 作業を完遂するために求められるスキルや能力(コンピテンシー)を定め、獲得された人材の役割権限責任を明確にしていきます。
人材の役割と責任については、RACIチャートのような責任分担マトリックスを使うと理解しやすい資料になります。

プロジェクト組織図

プロジェクト組織図はプロジェクト・チームのメンバーの構成と、その報告関係を図示したものです。
一般的に階層構造図の手法を使い、ツリー状に記載していくと分かりやすいプロジェクト組織図になります。

プロジェクト・チーム資源のマネジメント

プロジェクト・チーム資源のマネジメントでは、プロジェクト・チーム資源の定義、配置、マネジメントの方法を記載していきます。
最終的にはどのような状態になったら、どのような方法でメンバーにプロジェクトを離れてもらうのかまで記載していきます。

トレーニング・チーム育成

各プロジェクト・メンバーのトレーニング方法や、チームの育成方法について記述していきます。
メンバーのトレーニング方法については、スキルの訓練方法だけでなく、例えば「途中から加入する予定のメンバーについては議事録を読むことにより、プロジェクトの進捗を把握する」など、プロジェクトの状況を理解するためのトレーニングも含めておいたほうがよいでしょう。

資源のコントロール

資源のコントロールでは、必要な時期に必要な資源が使用できるように在庫管理やサプライヤーの管理の方法について記述していきます。

表彰計画

表彰計画では、メンバーにいつ、どのような表彰や報酬が与えられるかを記載していきます。
もっぱら組織内のプロジェクトでしか使われない内容ですが、ある一定のパフォーマンスを見せたスタッフに賞を与えたり、マイルストーンを無事乗り越えられたらパーティを開くなど、チームのモチベーションを高め、チーム・ビルディングに有効な施策を記載していきます。

資源は1つの表にまとめると管理が楽になる

以上、PMBOKで紹介されている資源マネジメント計画の構成要素を見てきましたが、これらの資源の情報は1つの表にまとめると管理が楽になります。
例えば、以下のような表であれば、どのような資源が、どの程度の質で、どのような作業で必要とされ、どのくらいの期間、どの程度の費用で求められているのかが1つの表で把握することができます。

資源の名前求められる質割り当てられる作業必要とされる期間費用
プロジェクト・チーム
開発リーダー
Aさん
経験5年以上プロジェクトの開発指揮90日360万円
(1人日4万円で計算)
プログラマー
Bさん
経験3年以上ソフトウェアAのコーディング30日90万円
(1人日3万円で計算)
ツール
プロジェクト管理ツールプロジェクト全体の管理120日
(4ヶ月)
8万円
(1ヶ月2万円で計算)

ここに記載した内容以外にも、想定されるリスクや利用可能な期間、プロジェクトからの離任の条件などを記載していってもよいかもしれません。

参考