ホットハンドの誤謬(ホットハンド現象)とは何か?

ホットハンドの誤謬とは

「ホットハンドの誤謬(Hot Hand Fallacy)」あるいは「ホットハンド現象(Hot Hand Phenomenon)」は、統計学と心理学の文脈で使われる用語で、成功や失敗などのイベントが連続して起こる傾向があるかのように感じられる誤解を指します。

ホットハンドとは

「ホットハンド」とはバスケットボールで使われている用語で、他の人よりゴールを決めやすいという意味です。たとえばバスケットボールの一つの試合で、特定の選手が放ったシュートが続けてゴールになったら、その選手は「ホットハンドを持っている」と評されます。

ホットハンドの選手は次のシュートも成功する?

ホットハンドの誤謬は、統計的な独立性の原則に基づいており、特定の出来事が過去の出来事に影響されないという原則に反するものです。
つまり、バスケットボールのシュートを含め、コイン投げやサイコロのようなランダムな出来事では、直前の結果がその後の結果に影響を与えないはずです。
しかし、多くの人は直前の成績が次の成績に影響を及ぼすと考えます。バスケットボールであれば、いつも80%の確率でシュートを成功させるものの、その試合ではまだ1本のシュートも決めていない選手と、いつもは50%の成功率であるものの、今日は5本中4本のシュートを決めた選手がいたとすると、後者の選手に多くのパスを回し、シュートを決めてほしいと多くの観客は考えてしまいます。

しかし、実際には、ホットハンドの誤謬は統計的に検証され、多くの場合、連続して成功する確率が期待値と比較して高くなることはほとんどありません。スポーツの選手が特定の状態にあるかどうかを評価する際には、統計的なデータや科学的なアプローチを用いることが重要です。

ホットハンドの誤謬を引き起こす2つのバイアス

連鎖性の誤謬(Clustering Illusion)

連鎖性の誤謬は、ランダムな事象がクラスター化されたように見える傾向を指します。
つまり、同じ結果が連続して発生することがあるが、これはランダムな出来事に起因するものであるにもかかわらず、パターンやトレンドがあると誤解される傾向があります。この誤謬はホットハンドの誤謬と関連があり、選手が連続して成功するか、連続して失敗する場合、人々はこれを「連鎖」や「ホットスポット」であると誤解しやすいのです。

確証バイアス(Confirmation Bias)

確証バイアスは、人々が既存の信念や期待を強調し、それに合致する情報を選好する傾向を指します。
ホットハンドの誤謬でいえば、観客やコーチは特定の選手が「ホットハンド」であると信じてしまい、その信念を強調しようとすることがあります。
彼らは連続して成功するシュートを強調し、失敗は無視し、これが実際の統計的な傾向とは異なる見解を形成する原因となります。確証バイアスは、新しい情報を選り好んで受け入れることなく、既存の信念を強調し、強化することがあります。

この他にもある認知バイアス

今回紹介したホットハンドの誤謬は認知バイアスの1つです。
認知バイアスについては下記の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

参考

  • https://en.wikipedia.org/wiki/Hot_hand(2023年10月13日確認)