プロジェクトマネジメントの国際標準やガイドラインにはどのようなものがあるか?

2020年4月1日

プロジェクトマネジメントにも国際標準やガイドラインがある

プロジェクトマネジメントはコミュニケーション能力やリーダーシップ、ファシリテーション能力などのソフトスキルだけが求められそうです。しかし意外にもプロジェクトマネジメントの国際標準やガイドラインは存在し、しっかりと手順や作法を身に付けておかないと恥をかくだけでなく、周囲との会話についていけず、業務に支障がでてしまうこともあります。
今回はプロジェクトマネジメントの国際標準であるISO 21500と国際的に有名なガイドラインであるPMBOKを紹介するとともに、ソフトウェア開発のプロジェクトで使えるISO/IEC 12207JIS X 0160、そして共通フレームについてご紹介いたします。

プロジェクトマネジメント

ISO 21500

ISO 21500はプロジェクトマネジメントの国際標準であり、国際標準化機構(ISO)によってリリースされた国際規格です。
ISO 21500の中では一般的なプロジェクトマネジメントの方法とともに、プロジェクトマネジメントの原則やグッドプラクティスを紹介しています。
数少ないプロジェクトマネジメントの国際規格であるものの、日本語の書籍が少なく、学ぶとすれば『ISO21500から読み解く プロジェクトマネジメント』ぐらいしかありません。
同書が丁寧にISO 21500について解説しているため、他の本はそこまで必要ではないものの、やはり学習するには教材が乏しすぎるかもしれません。
そのため、プロジェクトマネジメントの標準的な手法を学びたい場合は、次に紹介するPMBOKのほうが取り組みやすいかもしれません。

PMBOK

Webディレクターやシステムエンジニアになると、PMBOKという単語を耳にするかもしれません。
PMBOKとは、PMI(Project Management Institute)が策定しているプロジェクトマネジメントのガイドラインです。
PMIがPMBOKを「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」と呼んでいるように、プロジェクトマネジメントに必要な知識を体系化し、様々なプロジェクトに適用できるようにしています。
ISO 21500と似た部分が多いのですが、これはISO 21500の策定にPMBOKを策定しているメンバーが参画しているからでしょう[1]PMBOK®ガイド 第5版紹介シリーズ 第2回  ISO 21500について|トピックス|一般社団法人 PMI日本支部
PMBOK自体はわかりやすいとは言い難いものの、様々な解説書が出版されているところが魅力で、PMBOKをどの程度理解しているのかを問うPMPはプロジェクトマネジメントの力量を示す数少ない資格です。
そのため、プロジェクトマネジメントの手法を学びたいという場合は、PMBOKから入ってみることをおススメいたします。

このPMPについては、過去の記事もご覧ください。

ソフトウェアエンジニアリング

ITプロジェクトに関わるなら追加でしっておきたい規格・ガイドライン

ここまではどのような産業にでも適用できるプロジェクトマネジメントの規格やガイドラインを紹介してきました。
ISO 21500、PMBOKともにすばらしい内容ですが、弱点もあります。それは特定の業種の、特定の業務に対してのサポートがないということです。
プロジェクトといっても、様々な業種が日夜プロジェクトを進めています。
例えばビルを建てるプロジェクトから、パンフレットを作るプロジェクト、Webサイトをつくるプロジェクトから顧客管理システムを導入するプロジェクトまで様々あります。
ISO 21500もPMBOKも、あらゆる業種で使用できるようなプロジェクトマネジメントの手法やグッドプラクティスを紹介しているため、個別の業種に必要な手順までは筆が及んでいません。
そのため、ここからは、ソフトウェア開発やITシステムを導入するようなITプロジェクトを進めるための規格であるISO/IEC 12207JIS X 0160、そして共通フレームを紹介していきます。
システムエンジニアの方にはもちろん、Webサイト制作をされているWebディレクターの方にも有用な情報かと思いますので、ぜひご一読ください。

ISO/IEC 12207とJIS X 0160

ソフトウェアエンジニアリングの規格としてISO/IEC 12207があります。
内容を説明すると、ソフトウェアエンジニアリングのライフサイクル、つまりソフトウェアが契約され、開発され、保守を経て破棄されるまでに対応すべき内容を標準化しています。
このISO/IEC 12207を日本語訳したものがJIS X 0160です。
JIS X 0160についてはWeb上で内容が掲載されているので、一度内容を見てみるとよいかもしれません。あやふやに使っていた言葉の定義を再確認でき、面白い発見があるかもしれません。

また、JIS X 0160については、過去の記事で概要を紹介しているので、あわせてご覧くださいませ。

共通フレーム

ISO/IEC 12207とそれを日本語訳したJIS X 0160は貴重なソフトウェア開発の規格ながらも、そのままの文書を読むだけでは何が書いているのかなかなかピンときません。
そのため、JIS X 0160に注釈を加え、読みやすくしたのがIPAが発行している共通フレームです。
この共通フレームもそこまで読みやすい内容かと言われればそうではないものの、大きな利点として同じくIPAが事務をしている情報処理技術者試験のプロジェクトマネージャ試験が共通フレームの内容を盛り込んでおり、様々な参考書で共通フレームの内容を解説してくれていることが挙げられます。
そのため、共通フレーム自体は取っ掛かりにくくとも、プロジェクトマネージャ試験の学習をする中で知識が身に付くので、学習しやすい環境になっています。

まとめ

プロジェクトマネジメントの国際標準であるISO 21500と国際的に有名なガイドラインPMBOKを紹介するとともに、ソフトウェア開発のプロジェクトで使えるISO/IEC 12207とJIS X 0160、そして共通フレームについてご紹介してきました。
どの内容もプロジェクトマネジメントをする仕事をしているのであれば、一度は目を通しておきたいものですが、PMPやプロジェクトマネージャ試験に向けた勉強をする中で身に付けていくのもよいかもしれません。