プロジェクト作業の指揮・マネジメントとは何か?プロジェクトの実行プロセスの1つを解説

2020年10月26日

プロジェクト作業の指揮・マネジメントの概要

プロジェクト作業の指揮・マネジメントとは、PMBOKの中の実行プロセス群の1つです。
PMBOKでは様々な構成要素で成り立つプロジェクトマネジメント計画書と種々のプロジェクト文書を作成し、プロジェクトが成功裏に終わるための準備をしていきます。
このプロジェクトの準備をPMBOKでは計画プロセス群と呼んでいますが、プロジェクト作業の指揮・マネジメントは計画プロセス群が終わり、実際にプロジェクトで求めるプロダクトを作っていく工程である実行プロセス群のはじめに位置付けられるものです。

プロジェクト作業の指揮・マネジメントのインプット

プロジェクト作業の指揮・マネジメントでは、これまでに作成されたプロジェクト計画書、プロジェクト文書がインプット、つまりこのプロセスを進める材料となります。

プロジェクト作業の指揮・マネジメントのアウトプット

プロジェクト作業の指揮・マネジメントのアウトプットは以下の通りです。

  • 成果物
  • 作業パフォーマンス・データ
  • 課題ログ
  • 変更要求
  • プロジェクトマネジメント計画書更新版
  • プロジェクト文書更新版
  • 組織のプロセス資産更新版

このプロジェクト作業の指揮・マネジメントの最も重要なアウトプットは成果物です。

PMBOKのプロジェクトマネジメントの手法に従えば、実行プロセスに入るまでに多くの時間を費やしてきました。
しかし、多くの場合、計画プロセス群がすべて完了した時点でも、プロジェクトで完成させたいプロダクトというのは何も形になっていません。
プロジェクトで完成させたかったプロダクトを形作っていくのが実行プロセスであり、その指揮をとっていくのがプロジェクト作業の指揮・マネジメントであるため、ここで得られる成果物がプロジェクトで求めているプロダクトであることが多いでしょう。
そのため、プロジェクト作業の指揮・マネジメントのプロセスは、プロジェクトにとって非常に重要なプロセスだと言えます。

プロジェクト作業の指揮・マネジメントではやることはない?

孫子の言葉の中に、「勝兵は先ず勝ちてしかるのち戦いを求め、敗兵は先ず戦いてしかるのち勝を求む」という言葉がありますが、例えばソフトウェア開発のプロジェクトで、いざ開発が始まってから「人がいない」「要件が定まっていない」ということにならないよう、計画プロセス群でまず計画の上だけでも開発の完成までを見据え、実際の開発ではプログラマーさんがコーディングをするだけという状態になるのが理想です。

では、プロジェクト作業の指揮・マネジメントのプロセスでは、プロジェクト・マネジャーは何もすることはないのでしょうか?
もちろんそのようなことはなく、この成果物が当初の計画の通り開発できるのかを把握するために、作業パフォーマンス・データを計画の数値と見比べながらプロジェクトを監視していきます。

その結果、プロジェクトマネジメント計画書やプロジェクト文書を更新していったり、変更要求が出されることもあります。
また、プロジェクト作業の中で得られた教訓や知識を組織のプロセス資産としていくことも大切です。

これらの内容は実行プロセス群と並走している監視コントロールのプロセス群や同じ実行群の中のプロジェクト知識のマネジメントにもまたがる内容ですが、計画をするだけでなく、「プロジェクト作業が計画通りに行っているか」「計画と現実に乖離がないか」を監視し、成果物の完成まで持っていくことが大切です。