プロジェクト・チームを編成するときの考え方 どのようにしてチームを構築するか?
プロジェクトはチーム編成から
プロジェクトはチーム編成をするところから始まります。
プロジェクトの開始が決定してからチーム編成をすることもありますし、プロジェクト憲章を作成しながら構想を練っていくこともあります。
チーム編成のポイント
プロジェクト・チームの編成を考える際に注意すべき主なポイントは以下の通りです。
- 内製するか、外注するか?
- 技術力・力量はあるか?
- スケジュールは空いているか?
- タスク過多になっていないか?
- スタッフのスキルアップにつなげられないか?
- 指揮命令系統(コミュニケーション)に問題はないか?
以下、これらのチェックポイントについて簡単に説明していきます。
内製するか、外注するか
プロジェクト・チームを編成するときは常に「内製するか否か」の判断をしなければなりません。
つまり、自分が所属している会社や公共団体などの組織で必要とする人員を確保できるかどうかを見極め、人員の確保が難しい場合は外部の組織に依頼することを検討していきます。
これから見ていくように、技術力・力量、スケジュールの面で組織内スタッフの参加が難しい場合、外注することを検討していくのですが、何でもかんでも外注していくのではなく、セキュリティやコア・コンピタンスとの兼ね合いも考えていく必要があります。
セキュリティ的に問題はないか
外注するときには依頼先の組織の技術力や力量も重要ですが、セキュリティにどれだけ気を配っているかも大切です。
大切な情報をしっかりと秘匿してくれるか否かはその組織の体制によるところが大きいため、外注先がPマークやISO27001(ISMS認証)を取得しているかどうかを確認するとよいでしょう。
「自社の強み」ではないか
セキュリティの問題だけでなく、外注しようとしている内容が「自社の強み」、すなわち「コア・コンピタンス」である場合は一度踏みとどまって考える必要があります。
コア・コンピタンスの内容を外注してしまうと、組織内にノウハウが蓄積されないだけでなく、場合によっては技術流出による競争力の低下や品質の低下につながってしまうこともあります。
たとえコア・コンピタンスであっても状況によっては外注せざるを得ないこともありますが、できるだけコア・コンピタンスの部分を外注することは避けたいところです。
技術力・力量はあるか?
スタッフに声をかける際に考えなければならないのは、任せようとしているタスクや役割をこなす技術力や力量がその人にあるかどうかです。
もし任せようとしているタスクや役割をこなせるスタッフが組織内にいない場合は、外注することを検討していきます。
スケジュールは空いているか?
もし声をかけようとしているスタッフに技術力や力量があったとしても、スケジュールが空いていなければなりません。
このスケジュールの状況は組織内のスタッフのみならず、外注することになった際の依頼先の組織にも確認しなければなりません。
タスク過多になっていないか?
技術力や力量、スケジュールに空きがあったとしても、 複数のプロジェクトを掛け持ちして、 タスクの負担が大きくなっていないかどうかも確認する必要があります。
あまりにもタスク過多になっていると、体調不良を引き起こしたり、最悪の場合退職につながったりする可能性があります。
業務の負担の状況はRACIチャートを使って確認することもできるため、声をかけようとしているスタッフの業務状況を確認していくとよいでしょう。
スタッフのスキルアップにつなげられないか?
優先度は低くなりますが、これから始まるプロジェクトを通じてスキルアップが見込めそうなスタッフに声をかけることも忘れてはなりません。
例えば「プロジェクトの経験がない彼にアシスタントに入ってもらおう」「システム導入の経験がない彼女に外注との折衝をサポートしてもらおう」という形です。
あまりにも未経験者が増えてはプロジェクトの進行に不都合がでてしまいますが、今後のためにもスタッフの教育ができないかどうかも考えていくとよいでしょう。
指揮命令系統(コミュニケーション)に問題はないか?
ある程度チームの形ができてきたら、指揮命令系統やコミュニケーションに問題がないか確認していきます。
例えばITシステムを開発するプロジェクトで技術者であるコーダーばかりでは円滑なコミュニケーションが難しい場合があります。 コミュニケーションが円滑になり、プロジェクトの成功見込みが高くなるのであれば、技術者を統括するディレクターをいれることを検討してみてもよいでしょう。
IPAのプロジェクトマネージャ試験でも頻出のテーマ
今回見てきたチーム編成の考え方はIPAの「プロジェクトマネージャ試験」でも頻出のテーマです。
今回紹介したポイントに注意しながらプロジェクトの状況に即して「どのようにチームのメンバーを選定していくか」を考えていく訓練をしておくとよいでしょう。