プロジェクトでメンバーの離脱・交代が発生した時の対応策

2020年2月16日

突然のメンバー離脱にプロジェクト・マネジャーはどうするか?

どんなに綿密にプロジェクト・チームの編成を考えても、やむにやまれずメンバーが離脱してしまうということはプロジェクトではよくある話です。
プロジェクトのメンバーが病気をこじらせてしまったということもあれば、プロジェクト・チーム間の人間関係が上手くいかずメンバー交代が必要であったり、退職によるメンバーの離脱もあります。
この他、プロジェクト・チームからメンバーが離脱してしまう要因はさまざまあり、プロジェクト・マネジャーの悩みの種となっています。
メンバーの離脱は発生しやすく、プロジェクトの成否に直結する重要な問題であるため、プロジェクト・マネジャーはこの問題の対処法を体得しておく必要があります。
今回はプロジェクト・チームからメンバーが離脱してしまった際にとるべき対応策について考えていきます。

メンバーの交代は必要かどうか?

メンバーの交代は最終手段

プロジェクト・チームからメンバーが離脱する際の考え方

プロジェクト・チームのメンバーが離脱してしまうと、焦ってメンバー交代を考えてしまいがちですが、できることであればメンバー交代は最終手段にするべきです。
どんなに情報の引き継ぎを行ったところで、担当していたメンバーしか知りえない情報というのは存在してしまいますし、そんな不完全な情報しか持っていない状態で新しいメンバーをプロジェクトに招いたとしても十分な働きをしてくれるかどうかは怪しいものです。
そのため、メンバー交代はあくまで最終手段とし、プロジェクト・マネジャーはできるだけもとのメンバーにタスクの対応や役割を継続してもらうように取り計らったほうがよいでしょう。

メンバーの離脱は一時的なものか?

一時的なのであればスケジュール調整の道を模索する

メンバーの離脱が発生した際に最優先で確認しなければならないのは、それが一時的なものかどうかです。退職などの理由で恒久的に組織を去ってしまうのであればしかたがないですが、入院や他のプロジェクトのヘルプで一時的に離脱するというだけであれば、そのメンバーにプロジェクトを続けてもらうように調整したほうがよいでしょう。

離職などの場合であっても継続の道を模索する

もし退職などでプロジェクトだけでなく、組織を完全に抜けてしまうということであっても、タスクの一端を継続して引き受けてもらえないか、メンバーと相談するのも手です。
とくにITプロジェクトであれば、退職するプログラマーにコーディングを引き続き依頼するということも不可能ではありません。その場合、組織のメンツの問題や発注するコストの問題などもありますが、これまで担当していた人間が作業を継続したほうが効率的に進められるというのも事実です。
プロジェクト・マネジャーだけの判断では決定できない事項ですが、ステークホルダーと相談しながら検討してみてもよいかもしれません。

スケジュールの変更は可能か?

当初のスケジュールを維持できるか?

メンバーが一時的に離脱する際の最大の問題は、計画していたスケジュールに影響を与えるかどうかです。
クラッシングやファストトラッキングで当初のスケジュールを保てるのであれば、それにこしたことはありません。
しかしメンバーの離脱が1ヶ月、2ヶ月となる場合は、なかなか当初のスケジュールを維持することはできません。
そうした場合は、プロジェクトの発起人含めステークホルダーと相談し、スケジュールの変更ができないか相談していかなければなりません。

ステークホルダーに働きかける

例えメンバーの離脱がプロジェクト・マネジャーに非のあるものでなくとも、ステークホルダーにスケジュール変更の依頼をするのは億劫なものです。
ただし多くの場合、スケジュール変更の最終的な判断を行うのは、社長・部長などの組織の経営層であったりしますので、正当な理由とリスク回避の説明をすれば、承諾されることもあります。
例えば「離脱するメンバーでなければ当初の品質を維持できない」「今から追加のメンバーを招聘すると、XXX円程度の予算超過をしてしまう」などの説明はできるようにしておき、その上でステークホルダーにスケジュールの変更を相談するとよいでしょう。
クラッシングや ファストトラッキング によってスケジュールを調整できたり、ステークホルダーの合意によってスケジュールの変更が可能になった場合は、そのままメンバーの復帰を待ちます。
しかし、スケジュールの変更ができず、メンバーの復帰を待てない場合は、メンバーの交代を検討しなければなりません。

残りのメンバーで継続可能か?

もしメンバーの離脱が恒久的なものであり、その後の継続が難しい場合でも、残りのメンバーで離脱するメンバーの役割やタスクを代替することができるのであれば、そのままプロジェクトを進めていきます。
メンバーが抜けた分、追加のメンバーを検討することもあります。しかし多くの場合、後からメンバーを追加してもそこまで必要なのでなければコミュニケーションなどの問題でプロジェクトの進行を妨げる要因になるため、残されたメンバーで対応したほうがトラブルの少ないプロジェクト運営を実現することができます。
再度RACIチャートを作成し、各自の役割を確認しておくとよいでしょう。

メンバー交代が必要になったら

できるだけ情報・状況を引き継ぐ

様々な施策をもってしても、メンバーの離脱が恒久的なものになり、プロジェクト・チームのメンバー交代をしなければならないこともあります。
その場合、プロジェクト・マネジャーは早急に離脱するメンバーの情報・状況を引き継ぎ、後任のメンバーへの円滑な交代を実現しなければなりません。
また、プロジェクト・マネジャーとしては、メンバーの離脱・交代が発生した状況も想定して、様々なプロジェクト文書を残し、PMIS等の情報共有を行うツールを用意しておいた方がよいでしょう。

改めてチームを編成する

プロジェクト・チームを再編成する場合でも、考えるべき基本的なアイデアはプロジェクトの最初にメンバーを選定したときと変わりありません。

大きく異なるのは、プロジェクトを取り巻く状況です。
メンバーの離脱により、チームを再編成するときには、スケジュールの遅延が発生しているかもしれませんし、そのメンバーと同程度の技術力・力量を持っている人が組織内にいないかもしれません。
ただ代わりのメンバーを探すというだけでなく、「代わりのメンバーであってもプロジェクトを成功させるためにどうすればよいのか?」という視点が大切です。

メンバー離脱のリスクにある程度備えておく

今回はプロジェクト・チームのメンバーが離脱するようになった時の対応方法を考えていきました。
こうしたメンバーの離脱や交代にどのように対応していくかは、IPAの「プロジェクトマネージャ試験」でも頻出のテーマです。 それだけプロジェクト・マネジャーにとってメンバーの離脱というものは、頻繁に発生するトラブルの1つであるとも言えましょう。
メンバーの離脱が発生した時に迅速に対応することもプロジェクト・マネジャーにとっては大切ですが、事前に対策を講じておくと心の支えになります。
「プログラマーAさんは休みがちだから、長期の休みに入ってしまったら、外部のB社に依頼しよう」
「デザイナーのCさんが退職する噂があるけど、フリーで仕事を受けられないか探りをいれておこう」
など、表に出さなくとも裏のリスク対応計画を持っていてもよいかもしれません。