PMO(プロジェクトマネジメント・オフィス)とは何か?その役割と種類を解説
PMOとは
PMOとは"Project Management Office"の略であり、プロジェクト・マネジャーに対し、支援・管理・提言を行う組織や部局のことを指します。
PMBOKでのPMO
PMBOKではPMOを「プロジェクトに関連するガバナンス・プロセスを標準化し、資源、方法論、ツールおよび技法の共有を促進する組織構造」と定義しています[1]PMBOK第6版、731頁。。
ここでいう「組織構造」は組織内の部局やチームなどをイメージされるとよいでしょう。
PMOの役割
PMOの役割は多岐にわたり、プロジェクト・マネジャーの支援だけでなく、プロジェクトからのデータや情報を統合したり、上位レベルの戦略目標がどのように達成されるのかを評価したりすることもあります。プロジェクトの進め方の意思決定も、このPMOが担っています。
プロジェクトの支援ではプロジェクト・マネジャーに対して提言を行ったり、トレーニングなどを通じて知識の移行をリードしたりしますが、時にはプロジェクトの中止を決定したり、プロジェクト・マネジャーが考えていた処置とは別の処置を講ずることもあります。
このPMOの組織の中での位置づけを表すと、下の図のようになります。

プロジェクト・マネジャーとの関係
PMOはプロジェクト・マネジャーに与える影響の程度によって以下の3つの形態に分けられます[2]PMBOK第6版、48頁。。
- 支援型
- コントロール型
- 指揮型
以下、各形態の内容を見ていきましょう。
支援型PMO
支援型PMOはプロジェクト・マネジャーに対して資料テンプレートの提供、ベスト・プラクティスの提示、トレーニングなどを行い、プロジェクト・マネジャーの円滑なプロジェクト進行を支援します。
支援型PMOはプロジェクト・マネジャーに対する影響の程度は最も低く、プロジェクト・マネジャーの自主性を尊重した形態になっています。
PMOがほとんど何もアドバイスしなくても、情報提供するだけでよいプロジェクト・マネジャーに対して採用されるPMOの形態です。
コントロール型PMO
コントロール型PMOは支援型と同様、テンプレートの提供やトレーニングを行いプロジェクト・マネジャーを支援しますが、支援型に比べてより詳細な部分にまでプロジェクトに関与していきます。
例えばプロジェクトマネジメントの枠組みや方法論を提示したり、使用するツールなどもコントロール型PMOは指定したりします。さらには法規制の適合性をもPMOが確認することがあります。
このように、コントロール型PMOのプロジェクト・マネジャーに対する影響度は上で紹介した支援型PMOよりも強いですが、これから説明する指揮型PMOよりは弱い状態にあります。プロジェクト・マネジャーが成長しつつも、まだまだつっこんだところにまでPMOが関与しなければならない時に採用される形態です。
指揮型PMO
指揮型PMOでは、PMOはプロジェクト・マネジャーを直接指揮します。そのため、コントロール型PMOのように手法の提示やトレーニングを施すだけでなく、「次は何をするか」というような細かな進行にまで指揮型PMOはプロジェクト・マネジャーに影響を及ぼします。
プロジェクト・マネジャーが新人の場合など、まだまだプロジェクト・マネジャーひとりの判断でプロジェクトを運用するのが難しい場合は指揮型PMOが採用されます。