プロジェクトやフェーズの終結
プロジェクトやフェーズの終結とは
プロジェクトやフェーズの終結とは、プロジェクトやフェーズ、契約上のすべての活動を完結させるプロセスのことを指します[1]PMBOK第6版、732頁。。
ここではプロジェクトで生まれたプロダクトやサービスを次のフェーズや生産業務、運営業務に移管するために必要な処置や行動を検討していきます。
また、プロジェクトやフェーズの終結はプロジェクトマネジメント計画書やプロジェクト文書を確認しながら、当初予定していたプロジェクトの内容に不足はないか確認するプロセスでもあります。
プロジェクトやフェーズの終結の内容
プロジェクトやフェーズの終結で行う内容は多岐にわたります。
大別すると以下のような活動を行います[2] … Continue reading。
- フェーズまたはプロジェクトの完了基準や終結基準を満たすために必要な処置および活動
- プロジェクトやプロジェクト・フェーズに適用される契約合意の完了に関連する活動
- 必要な活動の記録
- プロジェクトのプロダクト、サービス、あるいは所産を次のフェーズ、または生産部門や運用部門ないし両部門へ引き渡すために必要な処置および活動
- 組織の方針や手続きを改善または更新して適切な組織体に提出するための提案の収集
- ステークホルダーの満足度の測定
プロジェクトやフェーズの終結で参照するもの(インプット)
プロジェクトやフェーズの終結で参照する文書や成果物もまた多岐にわたります。
プロジェクトの中で作成された文書・成果物一つ一つを改めて確認し、「本当にこのプロジェクトを終了させてよいのか?」ということを確認していきます。
プロジェクトやフェーズの終結で参照するインプットの一例として以下の内容がPMBOKで紹介されていますが [3]PMBOK第6版、121頁。 、これらの内容にこだわらず、気になる文書・成果物はすべて確認しておくとよいでしょう。
- プロジェクト憲章
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 受入れ済み成果物
- ビジネス文書
- 合意書
- 調達文書
- 組織のプロセス資産
これらの文書や成果物を専門家や会議で確認していきます。
プロジェクトやフェーズの終結で生まれるもの(アウトプット)
上述のインプットの一例として挙げられている文書・成果物の確認が完了した後、プロジェクトやフェーズの終結の成果物(アウトプット)が得られます。
このプロセスの主な成果物は以下の通りです [4]PMBOK第6版、121頁。 。
- プロジェクト文書更新版・教訓登録簿
- 最終プロダクト、サービス、所産の移管
- 最終報告書
- 組織のプロセス資産更新版
これらのアウトプットの役割は「プロダクトの移管」「プロジェクトの終結」「ノウハウの蓄積」という3つに分けられるでしょう。
プロダクトの移管
プロジェクトやフェーズの終結のアウトプットである「最終プロダクト、サービス、所産の移管」は、今まで進めてきたプロジェクトの成果を実際に利用するための活動です。
実際にプロダクトやサービスを開始するだけでなく、定常業務で利用できるよう準備をしていきます。
プロジェクトの終結
プロジェクトやフェーズの終結のアウトプットである「最終報告書」は、プロジェクトの終結を宣言するものです。
ある意味、プロジェクト開始の契機となるプロジェクト憲章と対になる文書といえるかもしれません。
「予定していた成果物が得られたか?」「コストは予算内に収まったか?」「プロダクトはいつ移管されたか?」などを文書にしていきます。
もしプロジェクトを終結させるこの段階で必要なタスクなどが実施されていなかったなどという事態があり、プロジェクトチームやステークホルダーがもはや実施の必要がないと判断した場合は、その旨を合意書や最終報告書に記載すると、後々のトラブルを回避することができるでしょう。
ノウハウの蓄積
プロジェクトやフェーズの終結のアウトプットである「プロジェクト文書更新版・教訓登録簿」「組織のプロセス資産更新版」は、 組織内のノウハウを蓄積するために役立ちます。
プロジェクトが終結しているため、教訓登録簿を作成したとしても当該プロジェクトには意味がありませんが、今後のプロジェクトの運用に役立てることができます。