ボトムアップ見積りとは何か?PMBOKの用語を解説

2020年9月29日

ボトムアップ見積りの概要

ボトムアップ見積りは、システム開発プロジェクトに関する見積り方法の1つです。
例えばプロジェクトの金額を見積もる際に、求められている成果物や作業を分解し、分解された要素に必要とされる資源(リソース)を見積り、それを積み上げて全体の見積りを出す方法です。
あるいは、ソフトウェアを構造化して、機能単位に見積もっていく場合や、実施作業を分解して工数別に見積もることもあります。

WBSのイメージ図
WBSのイメージ

ボトムアップ見積りでは、ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー(以下、WBSと略記)をもとに見積りを行うのが一般的です(。
WBSはプロジェクト目標を達成するために求められる成果物や作業を階層的に図示したものです。
このWBSがあれば、プロジェクトで必要とされる作業の詳細が明らかになるので、ボトムアップ見積りをしやすくなります。

ボトムアップ見積りのメリット

システム開発の見積方法は、さまざまな種類があります。その中でも、ボトムアップ見積りは、次のようなメリットが得られます。

ボトムアップ見積り以外の見積り法

ボトムアップ見積りのメリットを解説する前に、ボトムアップ見積り以外の見積り方法を紹介していきます。
ボトムアップ見積りの代わりの見積り法としてよく名前が挙がるのが「類推見積り」と「パラメトリック見積り(係数見積り)」です。

類推見積り(Analogous estimating)は類似プロジェクトのデータを使用して、必要工数やコストを見積る技法です。
パラメトリック見積り(Parametric estimating)は過去のデータを使用したアルゴリズムで見積る技法です。

これらの詳細は以下の記事もご参照くださいませ。

精度の高い見積書が作成できる

上述の通り、プロジェクトに関する見積り方法はボトムアップ見積りの他、類推見積りパラメトリック見積り(係数見積り)などがあります。この中で、ボトムアップ見積りは、最も精度が高い見積方法です。
ボトムアップ見積りは成果物や作業を分解して、各要素に必要とされる資源の金額を見積り、積み上げていきます。そのため、プロジェクトの各要素と金額が1対1の関係で結ばれているので、信頼性の高い見積りを出すことができます。

抜け漏れのトラブルを防止できる

類似プロジェクトのデータを使用して、見積る技法の類推見積りは、短時間で見積りを終えることができます。
しかし、類似プロジェクトであって、全てが同じプロジェクトであるわけではありません。そのため、今回のプロジェクトに必要な工程を見積金額に含めることを忘れるなど抜け漏れが発生することがあります。見積金額の抜け漏れは、大きなトラブルに発展するので注意しなければいけません。
そんな中、ボトムアップ見積りであれば、プロジェクトを細分化していき見直すことができるので、抜け漏れのトラブルを防止できます。

クライアントに説明しやすい

上述の通り、ボトムアップ見積りはプロジェクトの各要素と金額が1対1の関係にあるため、クライアントに対して見積金額を説明しやすいのも特長です。
類推見積りやパラメトリック見積りは制作側は簡単に見積りを行うことができますが、クライアントにとって納得できるものではないことが少なからずあります。
例えば、デザイン会社に広告デザインを依頼するとして、その担当者が類推見積りで「過去の実績から考えて、今回の広告デザインは100万円になります。」と言っても、すぐには納得できないのではないでしょうか。
なぜ、その金額になるのか、どのような作業を行うのかが明らかでなければ、その100万円という金額が妥当なのかどうか判断できません。
その点、ボトムアップ見積りはプロジェクトの作業と金額が紐づいているので、クライアント視点でも妥当性が判断しやすい見積りとなります。

クライアントとのトラブルを防ぐ

ボトムアップ見積りは、依頼者側と請負者側の認識の相違によるトラブルを防いでくれます。
クライアント(顧客)に提出する見積書は重要な意味を持っており、見積金額に必要な項目が含まれていなかったというトラブルは多く、最悪の場合には訴訟問題に発展することもあります。
そのため、ボトムアップ見積りを使いながら詳細見積書などで見積金額の内訳を細かく記載しておくと、作業範囲が明確になり、無用なトラブルを防ぐことができます。

ボトムアップ見積りのデメリット

以上、ボトムアップ見積りのメリットを見てきました。
ボトムアップ見積りには様々なメリットがありますが、デメリットも存在します。
ボトムアップ見積りの最も大きなデメリットは「見積りに時間がかかる」という点です。

ボトムアップ見積りは通常プロジェクトで必要とされる成果物や作業を洗い出してから、見積りを行っていきます。
プロジェクトはこの「成果物・作業の洗い出し」というのが大変で、プロジェクトの規模が大きくなるにしたがって、その難易度も高くなります。

そのため、成果物や作業の洗い出し事態に多くの時間を費やしてしまい、さらにそこから各要素の見積りを行っていかなければなりません。

このように、ボトムアップ見積りは精度や納得性は高いものの、作成するには時間がかかるというデメリットがあるので、その点は注意していかなければなりません。

ボトムアップ見積りの方法

ボトムアップ見積りは成果物や作業を分解して、分解要素のリソース量を見積り積み上げる方法ですが、どのような費用項目に分解すれば良いのでしょうか?
ここでは、ボトムアップ見積りの方法について解説します。

プロジェクトの成果物や作業を洗い出す

WBSのイメージ図

ボトムアップ見積りを行うためにまず必要なのは、成果物や作業の洗い出しです。
この作業はWBSの作成をかねて行うとよいでしょう。

例えば、「カレーライスを作る」というプロジェクトであれば、大きく分けて、「カレーのルー」と「ごはん」という成果物が必要になります。

これらの成果物を得るためには、カレーのルーであれば、素材を切る作業や炒める作業が必要になり、そもそもそれらの素材を購入するという作業もあります。

このように、プロジェクトに必要な成果物や作業を洗い出し、ボトムアップ見積りの準備をしていきます。

各要素の金額を見積もる

成果物や作業が洗い出せたら、プロジェクトを構成する各要素に、どのようなお金が必要かを見積もっていきます。

先ほどのカレーの例で言えば、仕事として行うなら「野菜を切る」という作業や購入する素材にどのくらいのお金が必要なのかを見積もっていきます。

金額を合算する

すべての要素に対しての金額が見積もられたら、最終的にはそれらを合算し、プロジェクトのために必要な金額を求めていきます。
通常、見積書はA4サイズにまとめますので、項目が多い場合はカテゴリー分けし、別途詳細見積書を作って、細かな金額を提示してもよいでしょう。