広域イーサネットとは何か?メリット・デメリットを解説

2022年9月12日

広域イーサネットとは

広域イーサネットとはVPN接続サービスのひとつで、企業の拠点間を接続するWANとして利用されています。
広域イーサネットは機密性が高く、高速通信が可能であるため、重要拠点間の接続に広域イーサネットを利用する企業も多くあります。

IP-VPN、インターネットVPNとの違い

VPNサービスとして他に、IP-VPN、インターネットVPNがあります。この2つは通信をL3レベルで行うため、使用できるプロトコルはIPのみです。そのため、柔軟なカスタマイズはできません。

一方、広域イーサネットは通信をL2レベルで行うため、利用できるプロトコルに制限はありません。ルーティングをユーザー側に設置したルーターで行うため、企業側で自由にルーティング設定が可能です。その反面、設定作業が複雑であり、IP-VPNやインターネットVPNよりも設定が複雑になるため注意が必要です。

広域イーサネットのメリットとデメリット

広域イーサネットを利用する上でのメリットとデメリットは、以下の通りです。

広域イーサネットのメリット

ネットワーク設定の自由度が高い

広域イーサネットでは、RIP、BGP、OSPFなど、様々なルーティングプロトコルを使用できます。

そのため、複雑な制御が必要な金融系などの企業で採用されることの多いサービスです。また、重要拠点間は広域イーサネットを利用し、それ以外の営業所はIP-VPNやインターネットVPNを利用するなど、組み合わせて利用している企業もあります。

高速で安定した通信が保証される

広域イーサネットは、高速な通信を可能にする技術が使われているため、高速で安定した通信が可能です。また、限定されたユーザーしか使用できない閉域網を利用するため、セキュアな通信が可能であることもメリットです。

広域イーサネットのデメリット

ネットワーク設定が複雑

広域イーサネットは、ネットワーク設定の自由度が高い分、複雑な設定が必要です。通信事業者側でルーティングを行わないため、企業の拠点側のネットワーク機器でルーティング設定を行う必要があります。ネットワーク設定が複雑であることから、導入や保守の負担が大きくなるデメリットがあります。

通信事業者側でQoSの設定がない

広域イーサネットでは、通信事業者側で、帯域制御や有線制御といったQoSの機能が提供されません。
QoSは通信の品質を保証するための技術です。トラフィック量の増加や、ネットワークの輻輳が発生した際に、重要な通信だけはその影響を受けないようにするための手段としてQoSが使われます。
そのため、安定した通信を行うためには、企業側で的確なネットワーク設計が必要です。
たとえば、広域イーサネットを利用する場合、キャリアの契約帯域とルーター、ONU間の通信帯域に速度差が発生する場合があります。
速度差があると、トラフィックが輻輳し、パケットを破棄してしまうパケットドロップが発生する可能性があります。そのため、パケットドロップを回避するために、ルーターでトラフィックシェーピングを実装します。
また、音声トラフィックと、データトラフィックが混在する場合は、音声トラフィックを最優先するといった優先制御を実装することも必要です。

参考