フット・イン・ザ・ドア・テクニックとは何か?人のもつコミットメントや一貫性の原理を利用した手法を解説

2023年6月15日

フット・イン・ザ・ドア・テクニックとは?

フット・イン・ザ・ドア・テクニックは小さな要請を承諾させ、次に大きな要請を承諾させる手法です。

フット・イン・ザ・ドア・テクニックが生まれた実験

1966年に、ジョナサン・フリードマンとスコット・フレイザーがある実験を行いました。
彼らは戸別訪問を行い「家の前庭に公共事業の看板を設置してほしい」という要請をしました。
家主たちが見せられた、設置後のイメージ写真では、家は「安全運転をしよう」という下手な文字が書かれた看板でほとんど隠れている状態です。これを見た83%の人は、この要請を断りました。

しかし、2週間前にあることをした特別なグループでは、76%の家主が要請を受け入れています。
彼らは2週間前に別のボランティアから「安全運転するドライバーになろう」と書かれた小さなステッカーを貼ってほしいと頼まれていました。
ほとんどの人がこの小さな要請を受け入れた(コミットメントした)結果、その後に大きな要請を受けた際に「承諾」することになりました。

この現象は、最初の小さな要請の内容が「安全運転」と関わりのない場合にも効果を発揮しました。数週間前に、まったく異なる内容である「州の美化」についての嘆願書に署名した人たちも同じように、前庭に「安全運転」の看板を設置することを承諾しました。

フリードマンとフレイザーは、この現象が起きる理由を「自己イメージの変化」によるものだとしています。
つまり、彼らは自分自身のことを「道徳にのっとった公共の利益に貢献する市民」だと認識し、その自己イメージとの一貫性を保とうとした結果、大きな要請の承諾につながったということです。

フット・イン・ザ・ドア・テクニックはなぜ有効なのか?

フット・イン・ザ・ドア・テクニックは、掲げた目標に対して責任を感じて行動するというコミットメントや、言行一致をさせようとする一貫性の原理を巧みに利用した手法です。

コミットメントと一貫性の原理については、下記の記事をご参照ください。

参考

  • ロバート・B・チャルディーニ(著)、社会行動研究会(翻訳)『影響力の武器[第三版]―なぜ、人は動かされるのか』誠信書房、2014年