集権型マネジメントと分権型マネジメントの違いは何か?

2022年2月15日

集権型マネジメントと分権型マネジメント

「集権型マネジメント」「分権型マネジメント」は、組織や企業のマネジメントにおいて登場する言葉です。
意思決定の権限をどのように配分するかによって「集権型」あるいは「分権型」に分類されます。

集権型マネジメントを採るか、分権型マネジメントを採るかは様々な場面で議論されます。
企業のマネジメントの方針をはじめ、システム開発のプロジェクトや「人事部」「営業部」などの特定の部門に対しても、集権型か分権型か判断することが可能です。

集権型マネジメント

集権型マネジメントではトップが意思決定の大部分を担います。
トップが判断を下し、下位のメンバーがそれに従うというのが集権型マネジメントの組織形態です。ワンマン社長のトップダウンなどは集権型マネジメントに当たります。
たとえば一企業で見た場合、製造や販売、開発など幅広い範囲の意思決定を上層部が下す形となります。

集権型マネジメントのメリット

集権型マネジメントには以下のようなメリットがあります。

共通化、標準化がしやすい

トップが多くの権限を握っているため、業務やサービスを共通化・標準化しやすくなります。
たとえば支社を海外に複数置いているグローバル企業の場合、ブランドの展開や社員のパフォーマンス基準を共通化するにはコストがかかります。
集権型マネジメントの場合、本社が全支社を見据えて指示を出せるため、効率よく全体の基準を統一することが可能です。

意思決定が早い

集権型マネジメントでは指示を出す人間が限られているため、意思決定の速度は早くなります。
さらに「今後の展開が見込めないプロジェクトを撤退する」など、長期的・全体的に最適となる判断も下しやすくなります。

責任の所在が明確

トップが権限を握っているのであれば、責任を担うのもトップです。
何らかの不祥事や不利益が発生した場合、責任の所在が明確であるため、迅速な対応が可能になります。

集権型マネジメントのデメリット

集権型マネジメントには以下のような懸念点も存在します。

現場と上層部のコミュニケーションコスト

多くの場合、集権型マネジメントではマネジメントを担う上層部と現場の間には距離が生まれます。
上層部が現場の情報を収集する場合、ある程度の労力が必要になるでしょう。情報共有に時間がかかって意思決定が遅れたり、逆に意思決定が現場に伝わるまでのラグによって、現場の対応スピードに影響を与えるかもしれません。
またコミュニケーションが頻繁に発生する場合、伝達ミスや誤情報にも注意が必要です。

上層部への監査の必要性

一部の人間が多くの意思決定権を持っている場合、権限を持つ者は私利私欲を通しやすくなります。
コンプライアンスを遵守し、組織やプロジェクトの信頼を保つためにも、上層部に対する監査は重要です。

分権型マネジメント

分権型マネジメントは、末端のメンバーに意思決定の権限が与えられている形態です。
たとえば開発現場のマネージャーに多くの権限が委ねられている場合、分権的であると言えます。

分権型マネジメントのメリット

分権型マネジメントには以下のようなメリットがあります。

消費者・エンドユーザーのニーズを行動に反映しやすい

現場に権限が委ねられている分、分権型マネジメントでは消費者やエンドユーザーのニーズをくみ取りやすくなります。
もし開発現場に権限が多く与えられている場合、察知した需要を迅速に開発に反映できます。

末端メンバーのモチベーションを保ちやすい

権限が与えられていることにより、上からの指示をただ与えられるよりもメンバーのモチベーションを保ちやすくなります。
また消費者のニーズを行動に反映しやすいため、顧客と距離の近いメンバーの自主的な活動を促しやすくなります。

分権型マネジメントのデメリット

分権型マネジメントには以下のような懸念点が考えられます。

判断が部分最適化される

組織や企業の全体像が見えづらいため、現場や特定のプロジェクトにとってのみ最適な判断が下される可能性が高くなります。
目先の利益や目標に集中した結果、全体的なコストや負担が大きくなってしまう可能性もあるでしょう。

重複の発生

分権されたプロジェクトやチーム、支社ごとに活動しているため、情報やノウハウが重複する可能性があります。
チーム単体で問題の解決策を考えるより、他チームが培ったノウハウを流用したほうが効率よく進行できるシーンは少なからず存在するでしょう。
他にも、個々のチームが似たようなシステムを各々で運用した結果、それぞれのランニングコストによって企業全体のコストが嵩んでしまうといったケースも懸念されます。

対照的な利点を持つ「集権」「分権」

集権型マネジメントと分権型マネジメントには、それぞれメリットとデメリットが存在します。
それぞれの特徴を把握し、必要に応じた形態を使い分けるのが理想といえるでしょう。

参考