戦術の2つの領域:計画戦術と動きのある戦術
はじめに
戦術とは、戦略に基づいて、特定の目標を達成するために行う具体的な行動や手段のことです。戦術は、さまざまな分野や状況で用いられますが、ここでは主に軍事やスポーツの分野での戦術について説明します。
戦術は、大きく分けて「計画戦術」と「動きのある戦術」の2つの領域に分類できます。これらの戦術は、それぞれ異なる特徴や目的を持ち、相補的に機能します。この文書では、それぞれの戦術の定義や例、メリットやデメリットについて概説します。
計画戦術とは
計画戦術とは、事前に綿密に準備や分析を行い、目標や状況に応じて最適な行動や手段を選択し、実行する戦術のことです。計画戦術は、主に事前に予測や制御が可能な状況や目標に対して用いられます。計画戦術の例としては、軍事作戦やスポーツの試合前の作戦などが挙げられます。
計画戦術のメリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。
計画戦術のメリット
- 事前に準備や分析を行うことで、目標達成の確率や効率を高めることができる。
- 計画に沿って行動することで、組織やチームの一体感や統制を保つことができる。
- 計画に基づいて予算や資源を配分することで、コストやリスクを最小化することができる。
計画戦術のデメリット
- 事前に想定できない変化や緊急事態に対応するのが困難になることがある。
- 計画に固執しすぎると、柔軟性や創造性が失われることがある。
- 計画の作成や実行に時間や労力がかかることがある。
動きのある戦術とは
動きのある戦術とは、事前に計画を立てることなく、状況や相手の動きに応じて即座に行動や手段を変更する戦術のことです。動きのある戦術は、主に事前に予測や制御が困難な状況や目標に対して用いられます。動きのある戦術の例としては、ゲリラ戦やスポーツの試合中の戦術変更などが挙げられます。
動きのある戦術のメリットとデメリットは以下のとおりです。
動きのある戦術のメリット
- 状況や相手の動きに応じて行動や手段を変更することで、柔軟性や創造性を発揮することができる。
- 相手の予測や対策を外すことで、サプライズや混乱を引き起こすことができる。
- 事前に計画を立てることなく行動することで、時間や労力を節約することができる。
動きのある戦術のデメリット
- 状況や相手の動きに適応するのが遅れると、失敗や危険に陥ることがある。
- 行動や手段の変更に伴うコストやリスクを考慮するのが難しいことがある。
- 組織やチームの一体感や統制が乱れることがある。
おわりに
今回は、戦術の2つの領域である「計画戦術」と「動きのある戦術」について概説しました。
これらの戦術は、それぞれ異なる特徴や目的を持ち、相補的に機能します。どちらの戦術も、目標や状況に応じて適切に選択や組み合わせを行うことが重要です。戦術の選択や実行には、知識や経験だけでなく、判断力や決断力も必要です。戦術の理解や習得には、学習や練習だけでなく、実践や反省も欠かせません。
参考
- 松村劭『戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』PHP研究所、2006年