バランススコアカードとは何か?BSCを使った経営戦略の立案方法を解説
バランススコアカード(BSC)の概要
バランススコアカード(Balanced Score Card, 以下BSC)とは、「財務」「顧客」「内部プロセス」「学習と成果」の視点から経営戦略を策定する手法のことです。
「財務」は会社の財務状況を、「顧客」は顧客との関係を、「内部プロセス」は自社の業務の状況を、「学習と成果」は従業員のスキルや組織文化の状況を表しています。
これらの内容を意味するものは以下の通りです [1]Balanced Scorecard Basics – Balanced Scorecard Institute 。
財務 | 金額、財務比率、予算の差異、収入目標などの財務データ。 |
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顧客 | 組織がサービスを提供するように設計されている顧客または主要な利害関係者の視点から組織のパフォーマンス。 |
内部プロセス | 製品、サービス、またはその他の主要なビジネスプロセスに関連する組織のパフォーマンスの品質と効率。 |
学習と成長 | 画期的なパフォーマンスの鍵となる人的資本、インフラストラクチャ、テクノロジー、文化、およびその他の能力。 |
経営戦略は財務状況を考慮して講じられるのが一般的ですが、バランススコアカードを使うことにより、顧客や内部プロセス、学習と成果も踏まえて考えられるのが特徴です。
バランススコアカード(BSC)のメリット
バランススコアカードを使うメリットは以下の通りです[2]Balanced Scorecard Basics – Balanced Scorecard Institute。
- 組織が達成しようとしている目標を伝えることができる。
- 日々行っている作業を戦略に沿って調整することができる。
- プロジェクト、製品、サービスに優先順位を付けることができる。
- 戦略目標の進捗状況を測定および監視することができる。
バランススコアカード(BSC)の使い方
1.KGI(重要目標達成指標)の設定
BSCを使って経営戦略を策定する際は、まずビジネス戦略立案を行い、戦略目標となるKGI(重要目標達成指標)を設定します。
KGIとはKey Goal Indicatorの略で、重要目標達成指標と訳されます。
「財務」「顧客」「内部プロセス」「学習と成果」の4つの視点の中で、各項目で何を達成するのかを明確にします。
例えば「財務状況の改善」「顧客満足度の向上」など、達成する目標を設定します。
2.CSF(重要成功要因)を明確化
KGIが決まったら、CSF(重要成功要因)を明確にしていきます。
CSFとはCritical Success Factorsの略で、重要成功要因と訳されます。
4つの視点のKGIの中で、何が決定的に重要な要因になっているのかを明らかにすることで、施策をより効率的に考えることができます。
3.KPI(重要業績評価指標)の設定
CSFが明らかになったら、次はKPI(重要業績評価指標)を設定していきます。
KPIとはKey Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標と訳されます。
KPIでは戦略目標であるKGIがどの程度まで達成されたのかを確認していきます。
KPIの例
ここで情報処理推進機構の「応用情報技術者試験」平成30年度秋・64問目の内容から、KPIの例を見ていきましょう。
財務 | 売上高営業利益率を前年比5%アップとする |
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顧客 | 顧客クレーム件数を1ヶ月当たり20件以内とする |
内部プロセス | 注文受付から製品出荷までの日数を3日短縮する |
学習と成長 | 新システムの利用者研修会の受講率を100%とする |
これらKPIの設定については、下記の記事でも解説しているので、ご参照ください。
4.アクションプランを設定する
最後にKPIを達成するためのアクションプラン(施策)を実行していきます。