ルーターとは何か?L2スイッチ・L3スイッチとの違いを含めて解説
概要
ルーターとはネットワークを接続するための機械のことです。
ルーターは、異なるネットワーク間でデータを転送する際に、通信経路を制御し、ネットワーク間を中継する役割を持っています。
ここでは、企業のネットワークで使われるL3機能を持ったルーターについて説明します。
ルーターの主な機能
ルーターには下記のような機能があります。
- ルーティング
- スイッチング
- NAT
- VPN
以下では、各機能について具体的に説明します。
ルーティング
ルーティングは、経路選択の機能です。
IPアドレスをもとに、データの経路を決定し、適切な宛先にデータを転送します。
その際、作成されたルーティングテーブルと呼ばれる通信経路表を参照し、データの転送先を選択します。
スイッチング
スイッチングは、ポート選択の機能です。
MACアドレスをもとに、データを送信するポートを選択し、適切なポートからデータを送信します。
その際、MACアドレステーブルと呼ばれるポートとMACアドレスの対応表を参照し、転送するポートを選択します。
NAT
NATは、IPアドレスを変換する機能です。
プライベートアドレスを使用している企業ネットワーク内部から、外部へ通信する場合、グローバルアドレスに変換する必要があります。
そのアドレス変換を可能にするのがNAT機能です。
VPN機能
VPNは、ネットワーク間を仮想的なネットワークでつなぐ機能です。
特定の拠点間を結ぶトンネルのようなもので、このトンネル内を通る通信は、情報の改ざんや、盗聴から守られます。
安全なデータ通信を可能にするのがVPN機能です。
ルーターの類似機器
ルーターと似た機器に、スイッチがあります。
スイッチはその機能により、L2スイッチとL3スイッチがあります。
ルーターとスイッチは、データを転送する役割を持つ機器であるという共通点があります。
以下では、ルーターとスイッチの違いについて具体的に説明します。
ルーターとL2スイッチの違い
ルーターとL2スイッチは扱うデータが違います。
L2スイッチはスイッチングハブとも呼ばれ、MACフレームを扱います。
これはOSI参照モデルの第2層データリンク層にあたります。
L2スイッチは、MACアドレスを見て、データを振り分けます。
あくまでもL2スイッチが確認できるのはMACアドレスのみなので、外部のネットワーク宛のデータ転送はできません。
一方、ルーターはIPパケットを扱います。
これはOSI参照モデルの第3層ネットワーク層にあたります。
ルーターはIPパケットに含まれる宛先IPアドレスを見て、適切なルートを選択し、パケットを転送します。
その為、ルーターは外部のネットワーク宛にデータ転送ができます。
また、ルーターとL2スイッチは使用できる機能に差があります。
ルーターにはルーティング機能と、スイッチング機能があるのに対し、L2スイッチにはスイッチング機能しかありません。
ルーターとL3スイッチの違い
L3スイッチにはルーターと同様、ルーティング機能があります。
しかし、L3スイッチにはアドレス変換機能であるNATや、セキュリティ機能であるVPNがありません。
企業ネットワーク内のプライベートアドレスのままでは、外部に出ていくことができない為、アドレス変換が必須となります。
また、本社と事業所など拠点間でデータのやり取りをする場合や、リモートアクセスで社内ネットワークにつなぐ場合は、セキュリティの対策が必要となります。
その為、企業ネットワークと外部を接続する場合は、L3スイッチよりルーターを使用するのが適切です。
ルーターは、企業の内部のネットワークと外部ネットワークとの境目に置かれ、玄関口のような役割も果たす機器です。