スケジュール予測とは何か?PMBOKの用語を解説

2021年11月30日

スケジュール予測の概要

スケジュール予測は、スケジュール予測時に取得できる情報・知識に基づいてプロジェクトの将来の状態やイベントを見積り予測することです。
予測は、プロジェクトの実行時に得られる作業パフォーマンス・データに基づいて更新され、繰り返し発行されます。
作業パフォーマンス・データは、過去プロジェクトのパフォーマンスと是正処置や予防処置を基盤として、将来予測されるパフォーマンスに基づいています。
さらに、EVM(Earned Value Management)のパフォーマンス指標の他にも、将来プロジェクトに影響を及ぼす可能性のあるスケジュール予備(バッファ)の情報が含まれます。

スケジュール予測が使われる状況

スケジュール予測は、PMBOKの中でも「リスクの定量的分析」「プロジェクト作業の監視・コントロール」「スケジュールのコントロール」で扱われる項目です。

リスクの定量的分析

リスクの定量的分析とは、個別リスクとプロジェクト目標全体における不確実性要因が複合した影響を数量的に分析し、全体リスクのエクスポージャーを定量化し、リスク対応計画を支援する追加の定量的なリスク情報を提供するものです。
スケジュール予測はリスクの定量的分析のインプットとして、プロジェクト文書の項目の一つとなっており、目標達成に関連する信頼水準を決定するための「スケジュールの定量的リスク分析の結果」と比較するために使用します。

リスクの定量的分析を行う際には、正常な場合のプロジェクト・データの確認が必要です。
スケジュールの正常なデータ値は、プロジェクトマネジメント計画書に記載されている「スケジュール・ベースライン」で確認できます。

プロジェクト作業の監視・コントロール

プロジェクト作業の監視・コントロールとは、プロジェクトマネジメント計画書に定義されたパフォーマンス目標を達成するために、全体的な進捗状況を追跡・レビュー・報告するものです。
スケジュール予測はプロジェクト作業の監視・コントロールのインプットとしても、活用され、スケジュール差異が許容範囲内にあるかどうかの判定に使用されます。
また、アウトプットの「プロジェクト文書更新版」においても、スケジュール予測はスケジュール・マネジメントのプロセスを介して更新されます。

スケジュールのコントロール

スケジュールのコントロールは、プロジェクトの進捗を更新するためにプロジェクトの状況を監視し、スケジュール・ベースラインへの変更をマネジメントするものです。
作成したスケジュールと実績をチェックし、遅延や問題が発生していれば適切な対策を講じます。

分析には「差異分析」が用いられ、計画に対する実際の開始日と終了日の差異、所用期間の差異、フロート(余裕日数)の差異を確認します。
この時、

  • スケジュール・ベースラインからの差異の原因とその程度
  • 残作業への差異が及ぼす影響の見積り
  • 是正処置や予防処置が必要か

といった部分を確認し、決定を下します。
スケジュールの中でもクリティカル・パス上にないアクティビティの大きな遅延の場合は、全体スケジュールにほとんど影響を及ぼしませんが、クリティカル・アクティビティや準クリティカル・アクティビティの場合、たとえ短い遅延であったとしても早急な対応が必要です。

スケジュール予測はスケジュールのコントロールのアウトプットとして、作業パフォーマンス情報の項目の一つとなっています。

スケジュール予測の位置付け

PMBOKガイドでは、5つのプロセス群として「立上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」に分類しています。
スケジュール予測を活用するリスクの定量的分析は「計画」のプロセス群に、プロジェクト作業の監視・コントロールとスケジュールのコントロールは「監視・コントロール」のプロセス群に属す内容です。

計画プロセス群では、プロジェクトの実行基準となる「プロジェクトマネジメント計画書」と「プロジェクト文書」を作成します。
実行の結果から計画書が変更されることもあり、これは計画が段階的に詳細化されることを意味しています。

監視・コントロールプロセス群では、実績とプロジェクトマネジメント計画書との差異を識別するために、パフォーマンスを定期的かつ一貫して監視し、測定します。
継続的な監視によって状況を正しく把握し、注意が必要な領域を特定することに役立てるのです。