資源カレンダーとは何か?PMBOKの用語の解説とITプロジェクトでの注意点を紹介

資源カレンダーとは

資源カレンダーとは「各資源を投入可能な作業日およびシフトを示す日程表[1]PMBOK第6版、710頁。」のことを指します。
資源カレンダーはプロジェクトでどのような資源がいつ・どのくらいの期間必要なのかを表すものですが、大きくプロジェクトとして何がいつ必要なのかを表すだけでなく、各アクティビティがいつどのような資源を求めているのかを資源カレンダーとしてまとめていくこともあります。

メンバーの作業の掛け持ちに注意

プログラマーの資源カレンダーについて

ITシステムを開発していくITプロジェクトでは、資源といってもその中身のほとんどはプログラマーの作業時間など、プロジェクト・チームのメンバーの時間だったりします。
そのため、ITプロジェクトの資源カレンダーでは、誰が・いつからいつまで・何をするかをまとめていきます
この資源カレンダーの作成をする中で注意しなければならないのは、メンバーが複数のプロジェクトで作業の掛け持ちを行っていないかどうかを確認することです。

掛け持ち状態では作業期間が長くなる

出典:エリヤフ・ゴールドラット(著)、三本木 亮 (訳)『クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?』ダイヤモンド社、2003年、193頁より作成。

資源カレンダーを考える中で、なぜ作業の掛け持ちが問題となるのでしょうか。
例えば、とあるプログラマーに、そのプログラマーであれば10日で完了するような作業A・作業B・作業Cを依頼するとします。
プログラマーがそれぞれの作業に専念でき、作業Aが終われば作業Bを、作業Bが終われば作業Cに着手するという進行を行った場合、これら3つの作業はそれぞれ10日で完了します。
しかし、作業の掛け持ちをして、「作業AのXX部分ができたら作業Bの△△を進める」「次の進捗報告までに作業Cを少しでもいいから進めなければならない」というような状況であればどうでしょうか。このような状況では、作業Aに着手しても、間に作業Bや作業Cが入ってしまい、作業をなかなか完了することができません。
また、一度作業を中断してしまうと、「あれ、これってどういうことだったっけ?」というような無駄な時間が生まれてしまうこともよくあります。10日で終わる作業の内、はじめに5日分を終わらせたとしても、中断後に作業を再開しても残り5日で終わらせられないという状態になってしまう可能性もあります。
今回の例では、作業中断後は5日分の作業を8日かけて完了させるとします。そうすると、それぞれの作業は着手してから完了まで23日もかかってしまうことになります。

組織内で資源カレンダーを共有して効率化する

このように作業の掛け持ちを行っていると、作業開始から完了までに実際に必要とされる時間よりも多くの時間が必要になってしまいます。
こうした非生産的な状況を打破するために、プロジェクト・マネジャーは複数のプロジェクトを依頼されているプロジェクト・メンバーのスケジュールを把握し、他のプロジェクトの資源カレンダーと照らし合わせながら、できるだけ単一の作業に専念できるように調整することが大切です。

1PMBOK第6版、710頁。