PoCとは何か?概念実証と呼ばれる実験方法を解説

2020年12月25日

PoC(Proof of Concept)の概要

PoC(Proof of Concept)とは、新たな技術、アイデア、企画、構想などに対し、実現可能性や目的の効果が得られるか等を確認するための実験法です。
日本語では「概念実証」と訳され、「ポック」または「ピーオーシー」と発音します。
具体的には製品やシステムの簡易版を作り、実際に利用者に使ってもらうことで検証を行うことがPoCの特徴だといえます。
主にIT業界、医療業界、映画業界で活用されている手法です。IT業界では特にAI(Artificial Intelligence)、IoT(Internet of Things)、DX(Digital Transformation)といった先進的な分野で用いられることが多いです。

なぜPoCが必要なのか?

PoCが実施される理由としては以下の3点が挙げられます。

投資や技術開発の判断材料になる

AI、IoT、DXは日本ではまだまだ導入事例が限られており、机上での投資効果の指標が得られにくいのが特徴です。そのため、まずはPoCを行うことで、実際のユーザに使用してもらい、効果を測定するといったことを可能とします。
なお、余談にはなりますが、AI、IoT、DX等を実現するためには、「適切な目標の設定」が必要だとされています。何のためにAI、IoT、DXを実現したいのかがはっきりしないと、期待していた投資効果が得られないという事態に陥るためです。

リスクを極小化できる

PoCは小規模で試験的に行うため、製品やシステムの開発リスクを抑えることが可能です。
小規模ながら実際のシステムで現場や利用者に使用してもらうことでフィードバックをもらい、使い勝手や現行業務への影響を測定することが可能となります。
例えばDXは各企業の現行業務のプロセスに大きく影響する部分であります。現行業務を変えるというのは時には多大なる影響を及ぼす可能性もありますので、慎重にやらなければなりません。いきなり全ての範囲の業務をDX化していくのは、導入効果の算定ができないまま、仕組みを取り入れることになるので事業上リスクが大きいです。
そのためPoCを活用することにより、まずは試しに仕組みを展開して導入効果を測り、そこで評価に値する効果が得られた場合に、本格的な導入を推進していくことが可能になります。

コスト・工数の削減ができる

コストや工数を削減できることもPoCのメリットです。
企画したアイデアに実現性があるのか、実現性があってもそれが社会に受け入れられるのか、利用してもらえるのかというのは机上ではわかりません。机上で考えた構想を検証もせず進めた結果、全くニーズがなかった仕組みを構築し、利用者に全く使ってもらえないとなった場合、それまで費やしてきたコストや工数が無駄になってしまいます。
しかし、PoCを行うことにより、実現可能性等を図ることができますので、結果的にコストや工数の削減になることが期待されます。

PoCはどのように行われるのか

PoCの工程は下記の3段階で実施することが一般的です。

  • ①試作、実装
  • ②検証
  • ③実現可否の判断

「①試作、実装」は検証を行うための仕組みを構築することです。このフェーズではできる限り短い期間かつ少ないコストで構築することが望ましいです。
「②検証」は構築したシステムを実際に関係者に利用して頂き、フィードバックを収集します。これにより机上での検証で抽出できないような問題や、机上では発見できないような新たな方向性などを発見します。
「③実現可否の判断」は、構想を実現すべきか否かの判断になります。投資に対して十分な効果が見込まれる場合は、実用化や本格導入に向けたプロジェクトを開始します。そうでない場合は「PoC」で終了となります。

なお、PoC後にそのまま本格プロジェクトに移行できればよいですが、PoCで行き詰り、本格プロジェクトに移行できなかったという事例は多数存在します。しかし、必ずしもそれが「失敗」だと決めつけることはできません。
仮にPoCを行った結果「企業内に必要なデータが足りていなかった」という結果であれば、その問題が表面化しただけでもそれはプラスだと考えることができます。今後はデータを蓄積するための取り組みを進めるなどといったネクストアクションが明確になるためです。ネクストアクションが明確になっただけでもPoCを実施したメリットはあるといえるのではないでしょうか。

参考

用語

Posted by promapedia