事象リスクと非事象リスクの違いとは何か?リスク管理のための新たな実務慣行

事象リスクと非事象リスクの概要

事象リスクとは

事象リスクとは、それが起こるかどうかが不確実な将来の出来事によるリスクを意味します。
「事象」という言葉が使われているためイメージがつきにくいですが、「事象リスク」は“event risk"という言葉を訳したものです。
そのまま、「イベント・リスク」と呼んだり、「出来事リスク」と呼んだりしたほうがイメージが付きやすいかもしれません。
つまり、「事象リスク」とは、何かしらの出来事に関するリスクです。
例えば「外部パートナーがプロジェクトに廃業してしまう」「自然災害によって作成途中のプロダクトが壊れてしまう」という起こるかどうか予測できない出来事は事象リスクに含まれます。

非事象リスクとは

非事象リスクとは、それが起こることは確実であるものの、その結果が変動することや、それに関する知識が不完全なことによって発生するリスクのことです。
例えば「予想していた以上に不良品の数が多かった」「法令の解釈が誤っていたため、作り直しが発生した」というリスクは非事象リスクです。
従来のリスクマネジメントは、もっぱら事象リスクを対象にしたものでしたが、新しいリスクマネジメントの実務慣行として、非事象リスクに取り組むことが推奨されています[1]PMBOK第6版、398頁。

非事象リスクの特徴は、それが発生することは確実な点です。
先ほどの「予想していた以上に不良品の数が多かった」というリスクは、品質をチェックするのはプロジェクトのプロセス上確実に行われるものの、その結果が予測できていなかったというものでした。

この非事象リスクには「変動リスク」「曖昧さリスク」が存在します。

変動リスク

変動リスクとは、計画された事象、活動または決定のいくつかの重要な特徴について不確実性があるというリスクです。
先ほどの「予想していた以上に不良品の数が多かった」というリスクは、この変動リスクに分類されます。
変動リスクに対処するには、予測していなかった数値がでたときの備えをするだけでなく、結果のバラつきを抑える活動を行うことが大切です。

曖昧さリスク

曖昧さリスクとは、知識や理解の不足によるリスクのことです。
先ほどの「法令の解釈が誤っていたため、作り直しが発生した」というリスクは、この曖昧さリスクに分類されます。
曖昧さリスクには、不足している知識や理解を補うことで対処します。
例えば、外部から専門家を呼んで知識を得たり、ベストプラクティスをベンチマークし、自分たちのプロジェクトとの差を観察したりします。
また、曖昧さに対処するために、アジャイル開発などの漸進型のプロジェクト進行を採用したり、プロトタイプを作ったりすることも大切です。

事象リスクと非事象リスクの違い

ここまでは事象リスクと非事象リスクとは何かをみてきました。
あらためて、事象リスクと非事象リスクの違いをまとめると、以下のようになります。

事象リスク非事象リスク
出来事が起きるかどうかが不確実出来事の結果が不確実

リスクマネジメントでは、事象リスクだけでなく、非事象リスクにも注目してプロセスを進めることが大切です。

1PMBOK第6版、398頁。