カンパニーベットとは何か?ユニコーン企業で用いられている手法
カンパニーベットの概要
カンパニーベット(Company Bet)とは、テック企業で用いられている手法で、会社が取り組みたい重要事項を、終わらせたい順に並べたリストのことです。
このカンパニーベットはユニコーン企業であるSpotifyで採用されたことで知られ、その詳細が『ユニコーン企業のひみつ』で紹介されています[1]Jonathan Rasmusson(著)、島田 浩二(訳)、角谷 信太郎(訳)『ユニコーン企業のひみつ … Continue reading。
今回は『ユニコーン企業のひみつ』の記述をもとに、カンパニーベットを解説していきます。
カンパニーベットの使われ方
カンパニーベットの使われ方を大まかにまとめると、以下のようになります。
- 経営者でカンパニーベットを作成
- ロードマネージャー(プロダクトマネージャー)の任命
- 部署を横断して課題に取り組む
ここからは、もう少し詳しく内容を見ていきましょう。
カンパニーベットの作成
カンパニーベットを使った問題や課題への取り組みは、経営者がカンパニーベットを作成することからはじまります。
会社には様々な課題がありますが、それらの課題に優先順位をつけ、数を絞ってカンパニーベットとしてまとめます。
カンパニーベットに記載される課題は、「アクセス数を20,000PV増加させる」というような細かいものではなく、「iOSアプリリリース」や「アメリカ進出」というように、困難ながらも達成した時のインパクトの大きい課題が選ばれます。
こうした課題に取り組むため、Spotifyでは全社のリソース(ヒト・モノ・カネ)の30%をカンパニーベットに取り組んでいる状態にし、その活動を支えています。
ロードマネージャー(プロダクトマネージャー)の任命
カンパニーベットを作成した後は、各課題の担当者が任命されます。
Spotifyでは担当者を「ロードマネージャー」と呼び、GoogleやFacebookでは「プロダクトマネージャー」と呼びます。
名称は異なれど、ロードマネージャーもプロダクトマネージャーも様々な経験を有し、コミュニケーション力の優れた人物が選ばれます。
部署を横断して課題に取り組む
ロードマネージャーは課題に取り組むため、自分の所属している部署に限らず、必要な人物に声をかけ、課題に取り組んでいきます。
このことにより、全社横断のコラボレーションが可能になります。
カンパニーベットと自主性
今回はSpotifyで採り入れられているカンパニーベットについて解説していきました。
カンパニーベットの特徴をまとめると、以下のようになります。
- フォーカスの強制
- 最優先事項の明示
- コラボレーション
今回紹介したカンパニーベットは、トップが方針を固めることがポイントです。
ただ、これはスタッフに裁量のあるテック企業のイメージとは異なるかもしれません。
では、カンパニーベットを採り入れているSpotifyはトップダウンの企業なのでしょうか?
もちろんそうではありません。
Spotifyではスクワッドという独自のチーム編成がなされ、大幅な権限と裁量、そして責任を与えられています。
カンパニーベットの課題を達成する際も、その裁量の中で何を優先すべきかを考え、自分の通常業務とカンパニーベットの課題のどちらに時間をつかうべきなのかを判断します。
日々の業務に大きな裁量を与え、日々の現場レベルでの改善を重ねながら、カンパニーベットによって経営者レベルの課題を進めていることが、Spotifyを短い期間に成長させた要因であると言えるでしょう。
注
↑1 | Jonathan Rasmusson(著)、島田 浩二(訳)、角谷 信太郎(訳)『ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』オライリージャパン、2021年 |
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