プロジェクト・コスト・マネジメントとは何か?PMBOKの知識エリアの1つを解説
プロジェクト・コスト・マネジメントの概要
プロジェクト・コスト・マネジメントとは、プロジェクトにかかる費用の見積り、予算作成などコストに関する一連の工程を管理するものです。
予算が決められているプロジェクトに対して、予算内にプロジェクトを完了するために必要な活動です。
プロジェクト・コスト・マネジメントはなぜ必要なのか
プロジェクトには必ず予算が設定されています。
品質が良く、ユーザーのニーズに沿った成果物を提出することは大切ですが、予算をオーバーするようなプロジェクトでは意味がありません。
反対に、コスト削減に取り組むことで、プロジェクトの遅延、成果物の完成度の低下につながることもあります。
プロジェクトに対して、適切なコストを見積り、コントロールしていくことが重要です。
プロジェクト・コスト・マネジメントの具体的なプロセス
プロジェクト・コスト・マネジメントには、以下のプロセスがあります。
- コスト・マネジメントの計画
- コスト見積り
- 予算設定
- コストのコントロール
以下では、各プロセスについて具体的に説明します。
コスト・マネジメントの計画
コスト・マネジメントの計画は、プロジェクトのコストに関する進め方や方針を定義するプロセスです。
プロジェクトのコストを管理するにあたり、基準項目を記載した「コスト・マネジメント計画書」の作成を行います。
コストをはかる上での物差しが異なると評価の際に齟齬が生じます。
その為、測定の単位などの基準を取り決めておきます。
コスト・マネジメント計画書の基準項目は下記のようなものがあります。
- コスト見積りの有効桁数
- コストの測定単位
- 組織の手続きとのリンク
- コントロール閾値
- パフォーマンス測定の規則
- 報告形式
- プロセス記述
コスト見積り
コスト見積りは、各タスクに必要な費用を見積もるプロセスです。
「資源マネジメント計画書」「スコープ・ベースライン」「プロジェクト・スケジュール」「リスク登録簿」などをインプットしてコストの見積りを作成します。
技法としては、「類推見積り」「パラメトリック見積り」「ボトムアップ見積り」などがあります。
プロジェクトの特徴や状況に合わせて、これらの技法を使用し、実際にかかる費用を算出します。
論理的に費用や工数を算出することにより、見積り根拠に説得力が生まれます。
また、見積りでは「経験」も参考となる情報です。
過去に同じプロジェクトに携わった経験があれば、見積りが容易になります。
自分に経験がなくても、同じ組織内に経験者がいる場合があります。
日頃から情報共有を行う環境を整えておくこと、コミュニケーションをとることも大切です。
コスト見積りを疎かにしてしまうと、プロジェクトの失敗につながります。
プロジェクトの実態、全体を把握することが、精度の高い見積りやプロジェクトの成功には必要不可欠です。
予算設定
予算設定は、上記の「コスト見積り」をもとにプロジェクト全体の予算を作成するプロセスです。
実際には、プロジェクトのスケジュールに合わせて、「コスト・ベースライン」を作成します。
プロジェクトを進める中で、予期せぬトラブルが起こることもあります。
その場合に備えて、リスク費用など余裕を持った予算を作成することが重要です。
コストのコントロール
コストのコントロールは、作成したコスト・ベースラインと実際にかかった費用の実績をチェックし、コストを管理するプロセスです。
コスト・ベースラインとの乖離が発生した際は、状況に応じて具体的な対応が必要となります。
数パーセントの予算超過であれば、外注による人件費削減などで対応できるかもしれませんが、大きな超過である場合、プロジェクトで納品する成果物を削減するなどが必要になるかもしれません。
その場合、内部の調整だけでなく、ユーザーとの調整、交渉が必要となります。
予算は目標ではなく、必ず守るべきものです。
コスト超過が予想される場合は、コスト削減の対策を直ちに進める必要があります。
この対策をとることで、どれくらい費用が削減できるのか明確にし、予算内に収まることを確認することが大切です。
プロジェクト・コスト・マネジメントのツールと技法
プロジェクト・コスト・マネジメントには様々なツールや技法があります。
下記にその一部を紹介します。
- 専門家の判断
- データ分析
- 会議
- 類推見積り
- パラメトリック見積り
- 三点見積り
- ボトムアップ見積り
- 過去の情報レビュー
- 資金限度額による調整
- 資金調達
- 残業効率指数(TCPI)