スクワッドとは何か?ユニコーン企業(Spotify)のプロダクト開発のエンジンとなるチーム

2021年5月17日

スクワッドの概要

スクワッド(squad)とはテック企業でプロダクトを開発するエンジンとなる存在である、少人数の、自律した、必要な権限を持ったチームのことです。

スクワッドはもともと「分隊」を意味する言葉ですが、ユニコーン企業の1つであるSpotifyが開発チームをこのように呼んだことから、それに倣ってプロダクト開発の中心となるチームを指すようになりました。

スクワッドは通常8名以下で編成され、プロダクトの全ての責任を負っています。
一方でスクワッドにはプロダクトに対して広範な権限が与えられ、経営者が提示したミッションを達成するために必要だと思われる仕事を自ら生み出していきます。
スクワッドは自律的に行動し、プロダクトを完成させた後も継続してメンテナンスを行い、数多くのリリースをしていくことが求められます。

今回は『ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』の内容を中心に、スクワッドについて解説していきます[1]Jonathan Rasmusson(著)、島田 浩二(訳)、角谷 信太郎(訳)『ユニコーン企業のひみつ … Continue reading

今回の内容は動画でも解説しているので、ご覧いただければ幸いです。

スクワッドの特徴

スクワッドの特徴のイメージ

ここからはスクワッドの特徴を紹介していきます。

チーム編成

スクワッドで最も特徴的なのがそのチーム編成です。
スクワッドは、全員技術に理解があり、手を動かすことができるメンバーで構成されています。
つまり、「他部署との窓口役」や「部下の仕事を監督する人」などはスクワッドにはおらず、プロダクトオーナーやデザイナー、エンジニアやテスターがメンバーとして選ばれます。
このチーム編成がプロダクトの機動性の源になっています。

責任と権限

スクワッドはプロダクトの全てに責任を負い、かわりに広範な権限を与えられています。
スクワッドは経営者から「ミッション」として組織やプロダクトのゴールを示されますが、そのゴールをどのように達成するかは決められていません。
スクワッドはミッションの達成に必要な仕事を考え、それらに優先順位をつけ、手を動かしていきます。
自律的に行動し、より多くのものを開発し、リリースしていくことがスクワッドに求められています。

重視するもの

スクワッドは自分たちの仕事の結果を重視します。
スクワッドは仕事の結果を測る指標を持っており、例えば「UIの改修で登録者が○○人増加した」「顧客維持率が○○%上昇した」という変化(インパクト)に注目します。

スクワッドをサポートする役割

スクワッドをサポートする存在として、プロダクト・マネジャーデータサイエンティストは重要な役割を担っています。
ここからは、この2つの役割を紹介していきます。

プロダクト・マネジャー

プロダクト・マネジャーはミッション達成のためにスクワッドが何をすればよいのかを導きます。
その業務範囲は広く、会社の戦略とプロダクトを結びつけることからプロダクトの機能の定義を考えることまで、プロダクト・マネジャーの仕事は様々です。

データサイエンティスト

データサイエンティストは膨大なデータを処理して意思決定を支える存在です。
スクワッドが次に何をすべきなのかを統計データで示し、スクワッドの仕事のインパクトを計測します。

データサイエンティストについては、下記の記事で詳しく解説していますので、こちらもご参照ください。

スクワッドに適した人物

スクワッドは誰でも参加できるというようなチームではありません。
技術力もさることながら、自律的に行動でき、他者と協力できる人物でなければなりません。
『ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』では、以下のような特徴を備えた人物を探すことを推奨しています[2]Jonathan Rasmusson(著)、島田 浩二(訳)、角谷 信太郎(訳)『ユニコーン企業のひみつ … Continue reading

  • 独り立ちしている
  • 責任を持つことを楽しめる
  • 率先して行動する
  • 自分の運命をコントロールしたい
  • マイクロマネジメントが嫌い
  • 継続的に学習している
  • 失敗を恐れない
  • 他人とのコラボレーションを好む
  • 良きチームプレイヤーである

1Jonathan Rasmusson(著)、島田 浩二(訳)、角谷 信太郎(訳)『ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』オライリージャパン、2021年
2Jonathan Rasmusson(著)、島田 浩二(訳)、角谷 信太郎(訳)『ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』オライリージャパン、2021年、51頁。