プロジェクト調達マネジメントとは何か?必要な資源を獲得するためのプロセス

2021年3月19日

プロジェクト調達マネジメントの概要

プロジェクト調達マネジメントとは、プロジェクトで必要となる資源を調達する一連のプロセスを管理する活動です。
ここでいう調達する資源とは、作業をする人や部品、プロジェクトで使うツールなど多岐にわたりますが、大きく分けると2つに分類されます。

1つは「ヒト」です。
大きなプロジェクトでは、その規模にあった人材を確保する必要があります。
計画の段階で必要となる資源を洗い出し、まずは組織内で確保できるかを確認します。
組織内の資源だけでは足りない場合は、外部から人員を確保します。

プロジェクトにおける成果物の品質は、プロジェクトに参画するメンバーに依存する一面があります。
外部に依頼する場合は、単純に価格だけでなく、メンバーの知識レベルと期待するレベルの差異がないように選定することが重要です。

もう1つは「モノ」です。
プロジェクトの成果物として納める機器、必要となる部材を確保する必要があります。
自社で製品を作っている場合以外は、外部の販社から調達することになります。
仕入れの際は、適切な価格で仕入れることはもちろんのこと、プロジェクト全体のスケジュールに合わせて、納期の調整なども重要となります。

プロジェクト調達マネジメントの具体的なプロセス

プロジェクト調達マネジメントでは、以下のようなプロセスを通して、資材の調達を進めます。

  • 調達マネジメントの計画
  • 調達の実行
  • 調達のコントロール
  • 調達の終結

以下では、各プロセスについて「ヒト」「モノ」2つの観点から具体的に説明します。

調達マネジメントの計画

調達マネジメントの計画は、プロジェクトで必要となる資材を洗い出し、調達の計画を作成するプロセスです。
プロジェクトの初期段階で、資源は何か、いつ、どのくらい、どのように調達するか検討し、調達の進め方、管理方法を定義した調達マネジメント計画書を作成します。
また、必要に応じて、入札文書や発注選定基準の作成なども調達マネジメントの計画に含まれます。
このプロセスを疎かにしてしまうと、資材の調達が滞るだけでなく、進捗の遅れなどにもつながり、プロジェクト全体に影響が出てしまうことがあります。

「ヒト」であれば、プロジェクト全体の作業内容、スケジュールから必要な人員を洗い出し、委託先を検討します。
この時、委託する作業の、責任分界点を明確にしておくことが重要です。
各委託先で作業範囲を事前に取り決めずにプロジェクトを開始してしまうと、作業に問題が発生した際の、切り分けが難航したり、「こちらの作業範囲でないから」と責任の擦り付け合いになったりすることが起こりえます。
作業グレーゾーンを作らないようにするため、作業範囲記述書を作成するなどの対策を行います。

「モノ」であれば、プロジェクトのスケジュール、想定費用に応じて、調達する資材の内容、調達スケジュールを検討します。
この時、価格とスケジュールの両面から検討することが重要です。
いくら安い価格であっても、納品までに時間がかかってしまえば、プロジェクト全体の進捗に遅れが発生してしまいます。

この調達マネジメントの計画については、下記の記事もご参照ください。

調達の実行

調達の実行は、実際に資材の調達をするプロセスです。
「調達マネジメント計画書」に基づき、資材の選定、調達、契約をします。
案件によっては、入札説明会を実施することもあります。
選定が完了した後、選定した業者との交渉、契約を進めます。

「ヒト」であれば、委託先との契約締結が調達の実行にあたります。
契約業者の選定は、期待した成果物を得られること、適切な価格であること、などを確認することが重要です。
「理解力」「実現可能性」「技術力」「コストパフォーマンス」などの評価項目で選定を行います。

「モノ」であれば、プロジェクトで必要となる製品、部材などの調達の実行にあたります。
サーバーや、ネットワーク機器の場合、同機種でもバージョンが様々あるため、注文時にベンダーの最新バージョンを確認したり、バージョンを指定したりすることが大切です。
この確認を怠ると、無駄なコストや稼働がかかってしまいます。

販社は生産者から機器を仕入れて、販売していますが、仕入れのタイミングによってバージョンが変わってしまいます。
そのため、注文した機器が全て同じバージョンで納品されるとは限りません。
機器を50台発注しても、1台だけ他と異なるバージョンの機器が納品されるということもあります。

また、バージョンによっては、バグが内在していることがあります。
バグがある機器を仕入れてしまうと、想定している機能が使えないなど、成果物の品質に影響が出てしまいます。
この問題は、注文前に、バグチェックツールなどを利用し、購入する機器に内在するバグがないか事前に確認することで、回避することが可能です。

調達の実行については、下記の記事もご参照ください。

調達コントロール

調達コントロールは、調達した資材の管理をするプロセスです。

「モノ」であれば、注文通りに機器や部材が納品されていること、注文数と納品数に差異がないこと、機器に不具合がないことを確認します。
機器が納品された後、受入検査で、筐体に破損がないこと、電源などのランプが点灯すること、機器に故障がないことなどを確認します。

「ヒト」であれば、契約の内容通りに作業が進んでいるかどうかを確認します。
プロジェクトでは、途中で変更が発生することが多くあります。
その際に、契約の管理のため、契約内容の変更など、協力会社との対応履歴を残すことが必要です。
履歴を記録しておくことで、言った言わないの問題が起こることを防ぐ効果があります。

調達の終結

調達の終結は、調達管理の最終プロセスです。
「モノ」であれば、調達したものが納品されているかを確認し、支払いをします。
「ヒト」であれば、依頼した要件に合致したものが成果として提出されていること、契約内容に不備がないことを確認します。