プロジェクトマネジメントにおけるインプットとアウトプットとは何か?

2020年1月21日

プロジェクトマネジメントにおけるインプットとアウトプットとは

プロジェクトにおけるインプットとアウトプットの概念図
プロジェクトにおけるインプットとアウトプットの概念図

プロジェクトマネジメントではインプットとアウトプットという用語が頻繁に使われます。
インプットとはプロセスを進めるために必要な項目であり、アウトプットとはプロセスによって生成されるプロダクト、所産、またはサービスのことを指します[1]PMBOK第6版、698頁及び700頁。

インプットとアウトプットの定義

PMBOKによると、インプットとは「プロセスが進められる前に必要となるさまざまな項目。プロジェクトの内外のものであるかを問わない。先行プロセスからのアウトプットであることもある」と定義されています[2]PMBOK第6版、700頁。
他方、アウトプットとはというと、「プロセスによって生成されるプロダクト、所産、またはサービス。後続プロセスへのインプットとなる場合がある」と定義されています [3]PMBOK第6版、698頁。

インプットとアウトプットの関係

プロセスはインプットをアウトプットに変換する一連の活動である

PMBOKでは一連のプロジェクトマネジメント活動である プロジェクトマネジメント・プロセス は「適切なプロジェクトマネジメント・ツールおよび技法を使用して、ひとつ以上のインプットからひとつ以上のアウトプットを生成する[4]PMBOK第6版、22頁。」とし、品質マネジメントシステムの標準であるISO9001でもプロセスを「インプットを使用して意図した結果を生み出す、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動」と定義しています[5]榎本徹『ISO21500から読み解く プロジェクトマネジメント』オーム社、2018年、11頁。
プロジェクトにおいては複数のプロセスを経て、最終的な成果物を形づくっていくことになります。つまり、プロジェクトとはインプットとアウトプットを繰り返しながら、最終的な成果物(プロダクト)を作っていく過程であるとも言えます。

インプットはアウトプットのための材料

例えばこれから「プロジェクト憲章の作成」というプロセスをこなしていくとします。PMBOKでは、「プロジェクト憲章の作成」のプロセスのインプットとしてビジネス文書、合意書、組織体の環境要因、組織のプロセス資産を挙げています。
PMBOKやISOなどの表現に慣れていないと、「インプット」という唐突なキーワードに戸惑ってしまうかもしれませんが、要するに「プロジェクト憲章を作るために ビジネス文書、合意書、組織体の環境要因、組織のプロセス資産を使ったり、参考にしたりしましょう」ということです。
最終的に「プロジェクト憲章の作成」ではアウトプットとしてプロジェクト憲章が取得できるのですが、インプットはアウトプットという料理のための材料と捉えても良いかもしれません。

ツールと技法によってインプットを料理する

PMBOKで頻出する「ツールと技法」もPMBOK以外では聞きなれない言葉です。
先ほどの「プロジェクト憲章の作成」ではツールと技法として、専門家の判断、データ収集、人間関係とチームに関するスキル、会議が挙げられていますが、これも換言すると「インプットとして手にいれた材料を専門家の判断、データ収集、人間関係とチームに関するスキル、会議を駆使しながらアウトプットにしていきましょう」となります。
インプットがアウトプットの材料であれば、ツールと技法は調理方法と言ってもよいでしょう。

アウトプットは後続のプロセスのインプットにもなる

インプットとアウトプットの関係で忘れてはならないのは、アウトプットが後続のプロセスのインプットにもなる場合があるということです。
「プロジェクト憲章の作成」のプロセスで作成したプロジェクト憲章は、「プロジェクトマネジメント計画書の作成」をはじめとする後続プロセスのインプットにもなります。
PMBOKを読んでいく中で、同じ名前の文書がインプットにもアウトプットにも登場して混乱してしまうこともありますが、 材料(インプット)なのか、料理(アウトプット)なのかをしっかりと整理していきましょう。

1PMBOK第6版、698頁及び700頁。
2PMBOK第6版、700頁。
3PMBOK第6版、698頁。
4PMBOK第6版、22頁。
5榎本徹『ISO21500から読み解く プロジェクトマネジメント』オーム社、2018年、11頁。