RPAツールによる受注情報取り込み自動化で工数削減に成功

2022年5月16日

RPAの市場規模は右肩上がりに拡大しており、今後さらにRPAを導入する企業が増えてくることが予測されます。今現在、導入を検討中という経営者やIT担当者も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 その方々にとって参考になるよう、ここではRPAツールを導入して受注処理を自動化したことにより、工数削減と顧客満足度を向上させた事例を紹介します。

RPAについては、下記の記事で解説しているため、こちらもあわせてご覧ください。

会社情報

今回紹介するA社は従業員数350人の中堅製造業で、拠点は本社と2箇所の工場を擁していました。
A社には業務に以下の3つのシステムを使っていました。

  • 生産管理システム(A社製)
  • 販売管理システム(B社製)
  • 勤怠、給与管理システム(C社製)

いずれもA社内にサーバー等の環境を用意するオンプレミスで構築され、本社と2箇所の工場をVPN接続していました。

RPA導入前の問題点は?

受注処理で3時間の拘束、納期遅れも

顧客からA社に送られてくる受注情報のメールは受信タイミングが不定な上に、短納期で製作するよう依頼されたロットに関しては、即座に作業指示内容を現場に投入しなければなりませんでした。
それによって30分おきに現場から事務所に戻っては「メールチェック」「新規製品の場合は製品マスタ登録」「受注データを生産管理システムにインポート」を繰り返す必要があり、1日あたり実質3時間もパソコンにはりついての対応を余儀なくされていました。
30分おきというインターバルはあくまで努力目標であり、会議や現場でのイレギュラーな対応で30分どころか1時間以上受注処理されない状況が発生し、その分短納期の対応が遅れるという事態が多発していました。

データ取り込みに負担がかかる

一部顧客に関してはWeb EDIとFAXから受注しているため、ブラウザを立ち上げ所定の手順で受注データをシステムに取り込んだり、FAXの内容を販売管理システムに入力したりして対応していましたが、取り込みに手間がかかる、入力ミスが頻発するなどの問題がありました。
また、作業者のシフトや当日の出勤状況、ならびに機械のメンテナンス情報、材料の入荷予定情報(他社製の販売管理システムからエクスポート)をエクセルファイルにまとめ、これらを生産管理システムにインポートしていました。その上で「誰が・いつ・どの機械で作業するか」をシステムにて割り振り作業指示情報を確定。作業者はタブレット端末から作業指示内容を確認し作業を行うというフローでした。
生産管理システムや販売管理システム、勤怠管理システムは全て別会社のもので連動しておらず、システム間でデータを取り込む場合は手動でインポート・エクスポートが必要です。
当日の9時までに、各部署の所属長から内線連絡により作業員の出欠報告を受けた上でエクセルファイルに手入力していましたが、連絡のない所属長に催促の連絡をする手間がありました。

RPA導入前の問題点

  • 随時行っている受注データ取り込み作業が毎日3時間もかかっている
  • 短納期ロットの初動対応が遅れてしまい、納期遅延が週に一度のペースで発生している
  • FAX受注情報の入力ミスが多発している

RPA導入後の改善点は?

メール・FAX・Web EDIの受注情報を自動取得するようRPAツールの設定を行いました。
その結果、対応すべき業務が新規製品のマスタ登録やイレギュラー時のみとなり、毎日3時間はかかっていた対応が30分に短縮できました。短納期のロット対応も自動で即時投入されるため納期遅延も大幅に削減できました。 また出欠対応に関しては、始業時に勤怠管理システムからエクスポートした出勤状況テーブルを自動で取り込むようRPAツールで設定することで、出欠確認の煩わしさがほぼなくなりました。

RPAを導入して満足した点は?

  • 前年比で年間600時間近くの工数削減に成功
  • 短納期ロットの納期遅延が前年比で70パーセント減少し、顧客向けの満足度アンケートでは納期についての満足度が前年比で50パーセントアップ
  • RPAツールはノーコードで操作できるためプログラムの知識がなくても運用可能に
  • 今まで事務処理にまわしていた人材を、より高度なマネジメントを行う部署へ転換することが可能に
  • 手作業と比較して迅速に処理できる上にケアレスミスも低減できたので、生産性が向上し働き方の改善に貢献

RPAツール導入で苦労した点は何ですか?

各担当が集まって自分が受け持っている業務をRPAツールで自動化できるか精査しました。準備期間を含めると丸3日間かかりました。 様々な部署の業務を精査する中で、イレギュラーな対応が多くてRPAによる自動化を諦めた業務も結構ありました。
でも幸いなことに我々が一番改善したかった受注データ取り込み作業はイレギュラーがほとんどなかったため、RPAツールで自動化することができました。FAXによる受注情報に関してはOCRソフトを別途導入し、文字認識が正しいかチェックを入れました。 受注フォーマットの統一はお客様にご対応いただいたおかげで、思いのほかスムーズに運用することができました。

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Posted by promapedia