Webスクレイピングとは何か?構成や活用事例を紹介

2022年11月18日

Webスクレイピングとは?

Webスクレイピングとは、Webサイトから大量の情報を自動的に抽出するソフトウェア技術のことです。
データの多くはHTML形式の非構造化データであり、スプレッドシートやデータベースの構造化データに変換することで様々なアプリケーションに利用することができます。
Webサイトから入手した情報を加工して新たな情報として生成されるため、手動でデータ収集を行う際に掛かる手間や時間の大幅な削減が見込めます。

Webスクレイピングの構成

WebスクレイピングはWebクローラーWebスクレーパーの2つの仕組みで構成されています。

Webクローラー

Webクローラーでは、インターネット上でコンテンツのインデックスを作成、検索を行います。
一般的にはWebや特定のサイトを「クロール」してURLを発見し、Webスクレーパーに渡します。

Webスクレーパー

Webスクレーパーとは、Webページからデータを正確かつ迅速に抽出するために設計された専用ツールです。HTMLファイルから抽出したいデータを見つけるために使用されるデータセレクタであり、通常はXPath、CSS、正規表現、またはそれらの組み合わせが適用されます。

Webスクレイピングとクローリングの違い

クローリングとは、Googlebotなどのクローラーが複数のWebサイトから情報を集めることを指します。
Webサイトから抽出された情報にインデックスが付与され、データベースに記録することで新たに検出したWebサイトをクローラーに認識させる際に活用されるプログラムです。

Webサイトを巡回して情報を取得するまではWebスクレイピングと同様ですが、Webスクレイピングが複数のWebサイトを巡回した上で必要な情報を入手するのに対し、クローリングはWebサイトのHTML情報から特定の情報のみを取得する点が異なります。

WebスクレイピングとAPIの違い

API(Application Programming Interface)は、一定の条件を設けてサービス側が開発者向けに提供する機能となり、サービス側が許可を行う方法となります。APIの活用により、他の製品やサービスで提供されている機能を既存のシステムやサービスに取り入れることができます。

APIはサービス側が許可することで情報が提供されますが、Webスクレイピングは公式に情報の取得が許可されている訳ではありません。相手の許可なくスクレイピングを行っていると、Webサイトの利用規約に抵触する場合もあるため注意が必要です。

APIについては下記の記事もご参照ください。

Webスクレイピングの活用事例

Webスクレイピングは、ニュースポータル、ブログ、ソーシャルメディアなど、様々な分野で広く使われています。

市場調査・価格情報

市場調査はWebスクレイピングで最も有効利用されている情報となります。Eコマースサイト(Amazon、楽天、Yahooショッピング等)から商品や価格情報の抽出を行い、データに基づいてより良い価格、マーケティング、製品の選定を行う際の重要な役割を担っています。

金融機関向けオルタナティブ(代替)データ

投資家のために作られた専用のWebデータです。意思決定の過程においてWebスクレイピングされたデータは戦略的価値が高く、多くの投資家が利用しています。

不動産

空室率の監視や賃貸利回りの推定等、Webスクレイピングされたデータを業務に取り入れることで、エージェントや仲介業者は市場情報に基づいた意思決定を行うことができます。

ニュースやコンテンツの監視

即時的なニュース分析に依存している企業や、頻繁にニュースに登場する企業にとっては、ニュースデータのWebスクレイピングは業界の重要な動向を監視、収集、解析するために重要な手法となります。

ブランドモニタリング

企業にとってブランドイメージを守ることは企業存続の観点からも重要な課題となります。オンラインで人々が自社製品をどのように認識しているか、企業イメージについて自社が求めるブランドイメージとの乖離がないかをWebスクレイピングを活用して収集します。

検索順位のスクレイピング

自社サイトの検索順位を定期的にスクレイピングすることで、どのようなコンテンツがSEO対策に効果的かを調査することができます。また、競合他社のサイトをチェックすることにも利用できます。

Webスクレイピングを行う際の注意点

法律に触れないか確認する

Webスクレイピングを行う上で注意を払う必要がある法律は「著作権法」「動産不法侵入」です。

著作権法ではデータの用途が「私的利用のための複製」または「情報解析のための複製」であれば利用が認められますが、複製や解析した情報自体を商用利用した場合は法律に抵触します。

また、Webサイトの提示している条件を守らない、サーバーに負荷を掛けるといったことは動産不法侵入に該当する場合もあるため扱いには注意が必要です。同様に相手先のライセンスやWebサイトのアクセス制限、利用規約を守ることも重要となります。

参考