アクセスポイントとは何か?アクセスポイントの種類や導入方法を解説

2022年4月26日

近年、無線LANを利用し、タブレットの導入や社内のフリーアドレス化を進める動きが企業で活発になっています。
場所に縛られることなく、ネットワークを利用できることが無線LANの利点です。
無線LANを利用するには、アクセスポイントが必要です。
今回は、アクセスポイントの種類と導入の手順を紹介します。

アクセスポイントとは

アクセスポイントとは、ネットワークへの通信を仲介する機器のことです。
Access Pointを略して、APと呼ばれることもあります。

アクセスポイントというと、一般的には無線アクセスポイントを指します。
無線LANと有線LANを相互変換する装置が、アクセスポイントです。

アクセスポイントの種類

アクセスポイントは、管理方法により4つに分類されます。

  • 自立型
  • 集中管理型
  • 仮想コントローラー型
  • クラウド管理型

以下でそれぞれ詳しく説明します。

自立型

自立型は、アクセスポイント単体で管理を行います。
複数台のアクセスポイントを導入する場合は、それぞれの機器で個別管理となるため、管理に負荷がかかります。
その分機器が安価である場合が多く、導入しやすいという面があります。

集中管理型

集中管理型は、コントローラーと呼ばれる機器でアクセスポイントを管理します。
複数のアクセスポイントをまとめて管理できるため、自立型と比べて管理の負荷を抑えられます。
銀行や企業、複数フロアで無線LANを導入する場合に使われることが多いです。

仮想コントローラー型

仮想コントローラー型には、アクセスポイントに、コントローラーの機能が含まれています。
そのため、集中管理型と同様、複数のアクセスポイントをまとめて管理できます。
ただ、集中管理型のコントローラーと比べると機能が劣る面や、管理できるアクセスポイントの数が少ないというデメリットもあります。
小規模なオフィスで無線LANを導入する場合に使われることが多いです。

クラウド管理型

クラウド管理型は、クラウド上でアクセスポイントを管理します。
現地に行かなくても、WEB上で管理画面にログインすれば、状況を確認できます。
どこからでもアクセスポイントを管理できるのがメリットです。
製品によりますが、アクセスポイントに接続しているユーザー数の確認や、設定変更など遠隔地から行うことが可能です。

アクセスポイント導入の手順

アクセスポイントを導入する際の手順は以下の通りです。

  • 要件確認
  • 機器選定
  • 現地調査
  • 設計
  • 施工
  • 電波調査
  • 運用

以下でそれぞれ詳しく説明します。

要件確認

無線LANを使用する場所、利用するユーザー数などをヒアリングします。
要件確認の際には、アクセスポイントの給電方法も確認します。
OAタップなどを介して電源コンセントから直接電源取得する場合もありますが、最近ではPoE給電が主流となっています。
PoE給電の場合は、天井裏や床下にLANケーブルを配線することになります。

機器選定

ヒアリングした要件をもとに、機器を選定します。
アクセスポイントは様々なメーカーから販売されています。
それぞれ特徴が異なるため、要件にあった機器を選ぶことが必要です。

屋外にアクセスポイントを設置する場合は、特に注意が必要です。
無線LANとして使用できる電波は2.4GHz帯と5GHz帯がありますが、屋外では5GHzの使用に制限があります。
そのため、屋外にアクセスポイントを設置する場合は、屋外専用のアクセスポイントの利用や、事前に申請が必要な場合もあります。

現地調査

現地に行き、アクセスポイントの設置場所を確認します。
アクセスポイントは、天井や、壁面に設置することが多いですが、障害物や、点検口の場所によっては、予定していた場所に設置できない場合もあります。

設計

認証方式、SSID、パスワードなどのパラメータを、アクセスポイントやコントローラーに設定します。
またルーターやスイッチなど、アクセスポイントと接続する機器の設定も検討します。

施工

実際にアクセスポイントを設置します。
アクセスポイントを天井に取り付ける場合は、落下しないように取り付けます。
アクセスポイントと天井裏の柱をワイヤーでつなぐなど、落下しても床まで落ちないようにすることも重要です。

施工後、端末がアクセスポイントを介してネットワークにつながることを確認します。
また、ローミング機能を確認するために、端末を近くのアクセスポイントに接続した状態でフロア内を移動し、別のアクセスポイントに自動で接続が切り替わることを確認します。

ローミングとは、アクセスポイントに接続した端末が移動した際に、自動的に電波の強いアクセスポイントに切り替わる仕組みです。
ひとつのアクセスポイントから電波が届く範囲は限られています。
ローミング機能を利用することにより、無線接続している端末が移動しても、近くのアクセスポイントに接続が切り替わるため、通信速度が落ちたり、通信が不安定になったりすることを防げます。
ローミングは、複数台のアクセスポイントを設置する際に、利用する機能です。

電波調査

アクセスポイントの設置、接続確認完了後、電波調査を実施します。
電波調査では、フロアの数か所で、電波強度を測定し、電波が弱い場所がないか確認します。
測定した電波強度が指定の範囲内に収まっていれば、問題ありません。
電波強度は、dBmという単位で表され、一般的には-30dBm~-70dBmの値であることが望ましいとされています。

電波調査では、ヒートマップを作成することもあります。
ヒートマップは、電波強度の分布をフロア図上に表示させたものです。
ツールを使い、フロア内の複数箇所で電波強度を測定することにより、ヒートマップを作成します。
電波強度が色で表示されるため、どの場所で電波が弱いか、一目でわかります。

運用

アクセスポイントは、有線のネットワークと同様、故障や不具合が発生する場合もあります。
ユーザーからつながらない、速度が遅いという問い合わせが来ることもあります。
その場合は、原因を確認するために、現地で電波調査を実施したり、故障の場合はメーカーへの問い合わせをします。

参考