Master機とSlave機とは何か?冗長化構成のひとつであるマスター/スレーブ構成を解説
ファイアウォールやサーバーの冗長化において欠かせないのがMaster機とSlave機です。
本記事では、Master機とSlave機、冗長化について解説します。
冗長化とは
冗長化とは、機器やシステムに障害が発生した場合に備えて、予備の機器やシステムを運用しておくことです。
複数台の機器で冗長化構成をとることで、障害発生時に業務やサービスへの影響を最小限に抑え、復旧にかかる時間を短縮できます。企業では、障害対策のため、ネットワーク内の様々な場所で冗長化の仕組みが使われています。
1台の機器だけで運用している場合、その機器に故障や不具合などが発生すると、ネットワークが停止してしまいます。外部へのサービスを提供している場合は、大きな損失にもつながってしまいます。
こうした事態を防ぐために、冗長化は必要不可欠なものです。
Master機とSlave機とは何か
マスター/スレーブ構成
マスター/スレーブ構成は冗長化構成のひとつであり、ファイアウォールやデータベースサーバーなどで利用されることの多い冗長化の方法です。
マスター/スレーブ構成において、通常時運用で動作するメインの機器がMaster機です。それに対して、Master機に不具合が生じた際に代わりに動作するバックアップの機器がSlave機です。
マスター/スレーブは、「リーダー/フォロワー」「プライマリー/レプリカ」「プライマリー/スタンバイ」と表現されることもあります。
Master機とSlave機それぞれの動作は以下の通りです。
Master機
Master機は全ての管理や制御を担当します。ファイアウォールであれば、IPアドレス、ルーティングテーブルはMaster機が保持しています。通常時はMaster機がルーティングを行います。
Slave機
Slave機は、Master機の設定が複製されています。多くの場合Slave機は、Master機が動作している間は操作することはできません。Master機に不具合が発生した際は、全ての設定がSlave機に引き継がれます。ファイアウォールの場合、IPアドレス、ルーティングはMaster機の設定がそのまま引き継がれます。
その他の冗長化構成
マスター/スレーブ以外にも冗長化の構成があります。
以下ではマスター/スレーブ以外で代表的な3つの構成を紹介します。
アクティブ/アクティブ構成
アクティブ/アクティブ構成は、全く同じサーバーを常時稼働させる冗長化の方式です。
通常時は、2台のサーバーで負荷分散しながら稼働します。2台のうちどちらかに不具合が発生した場合は、残りの1台が処理を継続します。
アクティブ/スタンバイ構成
アクティブ/スタンバイ構成は、同じサーバーを2つ用意して、稼働させるサーバーと待機するサーバーに分けて運用する冗長化の方式です。
メインで稼働しているサーバーに障害が発生した際、待機させていた同じサーバーに切り替えます。待機させるサーバーが多いほど、維持や管理にコストがかかります。
マルチマスター構成
マルチマスター構成は、複数のサーバー全てがMaster機として、同じ処理権限を持つ冗長化の方式です。
マスター/スレーブ構成のSlave機の役割がありません。そのため、どのサーバーに対してもデータの書き込みが可能です。運用しているサーバーに障害があっても、他のサーバーがいつでも稼働できる状態で待機しているため、切り替え時のダウンタイムが発生しないメリットがあります。