資源平準化とは何か?資源マネジメントの手法を解説

2020年7月24日

資源平準化の概要

資源平準化のイメージ図
資源平準化のイメージ。負荷の低い日に作業を割り振っていく

資源平準化とは、資源の配分を最適化するためにスケジュールを調整する資源マネジメントの手法の一つであり、資源最適化技法の一種でもあります。
資源平準化の基本的な考え方として、負荷がその組織の上限ライン(キャパシティ)よりも高まっている期間の作業を負荷の低い期間に転嫁することによって、必要な資源の量を平準化していきます。
資源平準化はスケジュールの調整だけで導入できるため、安価で済む手法であるものの、クリティカル・パス上の作業の負荷が高まっている場合はプロジェクト全体のスケジュールに影響を与えてしまうため、別の施策が必要になります。

身近な資源平準化

「資源平準化」という見慣れない文字を見てとまどってしまう人もいるかもしれませんが、資源平準化という手法は何も難しいアイデアではありません。
「資源」という言葉にはヒト・モノ・カネというプロジェクトに必要なものが含まれており、これがある日突然キャパシティ・オーバーになるのを防ごうというのが資源平準化です。
例えば、「終わりのほうになって困らないように、毎日夏休みの宿題を進めていきましょう」という考え方は資源平準化の最たるものです。
宿題という作業をこなすのに必要なのは人間という資源だけですが、人間1日にできる宿題の量には時間的にも体力的にも限度があります。
そのため、できるだけ1日・2日で終わらせようとせず、無理のない範囲で遂行できるように、複数の日にちに分けて宿題を行うのが理想の夏休みの宿題の取り組み方です。
この夏休みの宿題のように、とくに意識しなくとも、知らず知らずのうちにこの資源平準化を取り入れている人は少なくないかと思います。
プロジェクト・マネジメントの手法の中で、意外と資源平準化は身近な手法なのかもしれません。

クリティカル・パスとの関係性

クリティカル・パスとは何か?

クリティカル・パスを示すPERT図
クリティカル・パスを示すPERT図

このように資源平準化というのは、ありふれたアイデアでありますが、大切なのはクリティカル・パスとの関連性です。
クリティカル・パスとは、PERT図を作成した後に発見される、プロジェクトの急所となる一連の作業のことを指しています。
このクリティカル・パス上の作業が遅延してしまうと、プロジェクト全体のスケジュールが遅延してしまいます。
PERT図、クリティカル・パスについては、以下の記事もご参照ください。

クリティカル・パス上の作業の資源平準化

問題は、作業量の負荷がキャパシティを上回ってしまっている原因がクリティカル・パス上の作業を遂行するためのものだった場合です。
クリティカル・パス上の作業を安易に資源平準化によって後回しにしてしまうと、作業が遅延し、プロジェクト全体のスケジュールをも遅らせてしまうことになります。
この場合、採りうる策は多くありません。
例えば、資源平準化によって、プロジェクト全体のスケジュールが遅れても、当初の目標の期日に間に合うのであれば、そのまま資源平準化を実行するという考え方もあります。
一方、どうしても資源平準化を受け入れられないという場合は、追加資源を投入することによって当初のスケジュール通りの進行をするということもできます。
例えば、デザイナーの手が足りないという時に、外部のデザイナーに依頼するということもできますが、追加の資源を投入すれば、その分コストが嵩んでしまいます。
このように、クリティカル・パス上の作業の資源平準化を行う場合は一筋縄ではいかず、何らかの追加コストやスケジュールの伸長が発生するケースが多いと言えるでしょう。