クリティカル・パス法とは何か?プロジェクトの急所を見抜く方法

クリティカル・パス法の概要

クリティカル・パスを示すPERT図
赤色の矢印がクリティカル・パスを示している。

クリティカル・パス法(Critical Path Method)は、プロジェクトの各工程(作業)を一連の流れで並べて管理する方法で、CPMと略されることもあります。
クリティカル・パス法の中で、遅延が発生すればプロジェクト全体のスケジュールに影響を与える一連の作業工程を「クリティカル・パス」と呼びます。直訳すれば「重要な経路」になりますが、その名の通り、プロジェクトの成否を分けるのがクリティカル・パスです。
クリティカル・パス上の作業時間を終了させなければ、他の作業時間をいくら短縮しても、納期に間に合わなくなります。そのため、プロジェクトの中で、クリティカルパスとなる作業を早期に発見することが大切となります。

クリティカル・パスを発見する手順

クリティカル・パスを発見するためにはPERT図を作成していく必要があります。
PERT図の作成については、下記の記事で詳しく解説していますが、ここでも簡単に解説し、クリティカル・パスを発見する方法を見ていきましょう。

1.プロジェクトを作業単位に分割する

PERT図を作成していくには、はじめにプロジェクトを作業単位で分割し、階層的にリストアップします。
例えば、一口に「システム開発」と言っても、その作業の中には「設計」「コーディング」「テスト」などの様々な作業があります。
このようにプロジェクト中に対応する作業を洗い出していきながら、PERT図を作成する準備を進めていきます。

2.PERT図を書く

PERT図
参考画像1・PERT図の例

分割した作業をPERT図(Program Evaluation and Review Technique)にまとめていきます。
PERT図は丸や四角などで示した作業同士を矢印で結び作業間の相互関係を示していきます。
PERT図中のマルはイベントと呼ばれ、プロジェクトの状況などを表し、矢印は作業を意味しています。
参考画像1では、プロジェクトが開始したAという時点から、Wという作業を行い、Bの状態に移ります。
プロジェクトがBの状態になったら、作業Xと作業Yに着手することができます。
作業Xが終わったら、プロジェクトはCの状態になり、そこからようやく作業Zを進めることができます。
作業Yと作業Zが完了したら、プロジェクトは完了の状態のDの時点になります。
このようなプロジェクトの作業を整理していったものがPERT図です。

3.余裕日数(フロート)を書く

PERT図を作成することができたら、余裕日数(フロート)を書きます。
この余裕日数の計算について詳しくは下記のページで解説していますが、要するに余裕日数は「作業をしなくてもプロジェクトに影響を与えない日数」を表しています。

先ほどの参考画像1で、作業Yを担当する人と作業Zを担当する人が分かれていたとします。
作業Yは作業Wが完了したBの時点から着手できるので、プロジェクト開始から1日後には作業することができます。しかし、作業Yは完了まで5日かかるので、作業Yが完了するのはプロジェクト開始から6日後になります。
一方、作業ZはBを経て、さらに作業Xが終わった後でようやく開始できるので、プロジェクト開始の2日後に作業に取り掛かることができます。
そして、作業Zは必要とする日数が2日しかかからないので、プロジェクト開始から最速で4日後には終えることができます。
しかし、 作業Zがプロジェクト開始から4日後に終わっても、プロジェクト全体が完了するDの時点に行き着くには作業Yを待たねばなりません。
そのため、作業Zは作業Yが完了するのを待つ2日の時間ができるのですが、これが余裕日数です。
作業Zはプロジェクト開始から最速で2日後に開始できますが、4日目から開始してもプロジェクトのスケジュールに影響は与えません。

4.クリティカルパスを見つけ出す。

以上のように、PERT図を作成し、余裕日数を計算したら、PERT図で算出した余裕日数が最も短くなった部分が、クリティカル・パスとなります。
ほとんどの場合、クリティカル・パスは余裕日数が0のイベントをたどったものになります。
参考画像1で言えば、「A→B→D」の経路がクリティカル・パスになります。
例えば、作業Zが1日遅れたところで、プロジェクトが完了する日付は変わりません。
一方で、 「A→B→D」の経路の中のいずれかの作業が遅れてしまうと、プロジェクト全体のスケジュールに遅延が発生してしまいます。
このように、作業の発生がプロジェクトの遅延に直結してしまう作業の流れがクリティカル・パスです。

補足:前例の少ないプロジェクトは進行に応じて改善する

PERT図の内容は、プロジェクト進行に応じて改善していきましょう。
前例の少ないプロジェクトでは、所要時間を見積もるのが非常に難しいです。そのため、プロジェクト進行していく中で、実態が明らかになり次第、計画に改善を加えていきましょう。

クリティカル・パスの必要性

作業間の関連性を把握できる

さまざまな人が関与するプロジェクトの進捗管理は大変です。特定の作業が終了しなければ、作業を開始できないものも存在するため、早いタイミングで、作業の関連性を把握しておかなければ、納期に間に合わなくなることもあります。
しかし、PERT図を作成してクリティカル・パスを把握しておけば、各作業の関連性が明確になるため、プロジェクトの一連の流れが明確になり、どの作業から進めていけば良いのかが分かるようになります。

プロジェクトメンバー間で情報共有ができる

PERT図を作成し、クリティカル・パスを図中に示しておけば、全体像を一目で確認することができます。
このPERT図をプロジェクト・メンバー同士で目を通しておくことで、どのような作業の流れになるのかの情報共有が行えて、プロジェクトの安定した進行につなげることができます。

プロジェクトが遅延しないように対策できる

他の作業時間が大幅に短縮したとしても、クリティカル・パスに該当する作業が遅延してしまうと納期に間に合わなくなります。
そのため、クリティカルパスを把握しておかなければ、スケジュールの遅延やプロジェクト失敗の原因につながってしまうのです。
プロジェクト・マネジャーは、早い段階でクリティカル・パスに該当する作業を把握して、遅延が起こらないように対策を検討しなければいけません。クリティカル・パス法は、このようなスケジュール管理に役立ちます。

適切なリソースを割り当てることができる

クリティカル・パスはプロジェクトの中でも重要なタスクであり、プロジェクト全体の所要時間に大きな影響を与えるため、注意しなければいけません。
あらかじめ、クリティカル・パスが把握できれば、優秀な人材を割り当てる、多くの人を配置するなど、リソース配分にまで気を配れるようになります。
このように、リソース管理をする上でも、クリティカル・パス法は有効です。